「肉まん1個お願いしまーす」
心菜は朝食をとっていなかったので、とにかく何かを食べたかった。
そこで、目的の場所へ向かう前にコンビニで大好きな肉まんを買うことにしたのだ。
「熱っ。うまいけど」
肉まんを頬張りながらどんどん道を進んでいく。










30分ほど歩き続けた午前7時頃。
「はぁ、疲れた。やっぱり今度からチャリかバスで行こうっと」
ようやく目的の場所へたどり着いた。
その場所の名は、未来の丘学園(みらいのおかがくえん)。いわゆる児童養護施設である。
なぜ、学校ではなく養護施設に向かっていたのだろうか?
「あっ、心菜ちゃん、おはよう」
「おはようございます…」
彼女に話しかけてきたのは、この未来の丘学園のスタッフである、19歳の栗原彩芽(くりはらあやめ)。19歳とは思えないほど落ち着いた、優しく清純な女性である。
「今日は心菜ちゃんにお話したいことがあるんだ。いいかな?」
心菜は、こんな私になんの話があるんだと思いつつ
「あ、はい。わかりました」
と返事をし、2人でいわゆる会議室のような部屋へ向かった。