きみがいる、この世界で。


次の日も、友梨ちゃんと高橋くんは休み時間になるとよく話していた。
お昼休みの時に加菜ちゃんが「昨日から高橋くんとよく話しているけれど、何を話しているの?」とたまたま聞いてくれたけれど、友梨ちゃんは「特になにも。世間話だよ」と答えた。
加菜ちゃんがその質問をしたことで、二人の距離が縮まっていることは私の気のせいではないようだった。

久しぶりに降っている雨のせいなのか、それとも別のことが原因なのか、なんだか今日は全く気分が晴れない。放課後、終礼が終わると同時にそそくさと教室を出ようとした時、高橋くんに強く手首を掴まれた。

【ごめん、急いでた?】

首を横に振ると、高橋くんは安堵の息をついた。

【今週末、どちらか空いていない? 土曜日か日曜日】

カバンの中からスマートフォンを取り出し、【どうして?】と入力する。

【行きたい場所があるんだ、泉本さんと】

【私と?】

【うん】

一瞬にして脳裏に友梨ちゃんの笑顔がパッと浮かんでは、ゆっくりと消えていく。

”友梨ちゃんとじゃなくて?”と聞きそうになってしまった自分に、心の中でため息をつく。

【都合、どうかな】

【日曜日なら大丈夫だよ】

【本当? よかった】

高橋くんは控えめに口角をあげると、【待ち合わせの場所と時間、また連絡するね】とスマートフォンを振った。