彼が体調を崩していると知ったのは、朝礼で担任の先生が「最近夏風邪が流行っているから気をつけろよー。高橋も高熱が出ているみたいだから」と言ったからだ。

「高橋くん、体調悪いの?」

「そうみたい……私も知らなかった」

正直に答えると、友梨ちゃんは「心配だね?」と眉毛を八の字にした。

「高橋くんのご両親って共働き? 熱出ている時に一人だと心細いよねえ……」

「どうなんだろう。聞いたことなかった」

今思えば、彼が一人っ子だということ以外、彼の身辺に関することは何も知らなかった。

「まあ、男の子だし。大丈夫なのかなあ」

友梨ちゃんはそう結論づけたけれど、心配になって、一応メッセージだけ送る。

【担任の先生から、体調を崩していること、聞いたよ。何か困ったことはない? 食べたいものとかがあれば持って行くから、遠慮なく教えてね】

高橋くんは割と返信が早い方で、遅くてもいつもなら30分ほどで返ってくる。それなのに今日はお昼休みになっても返事は届かない。

大丈夫かな……余程体調悪いのかなあ……。