次の日からも、陶山はお昼になると「一緒に食べようぜ」と席まで誘いに来てくれた。
晴れの日は中庭で、雨の日は昼休みは使われていない選択教室で食べる。
やっぱり誰かと一緒に過ごす休み時間は、一人で過ごすよりも楽しい。
サッカー部の対立は、顧問の先生が介入して主将と副主将の意見を聞いて折衷案を出したことでお互い少し落ち着いたようで「主将と副主将が普通に話しているだけで安心する」と陶山は複雑な表情をした。
一緒にお弁当を食べていると、クラスメートやサッカー部の人たちに見られることもある。
陽気な性格の陶山はとにかく友達が多いから声をかけられることも多い。
「何、彼女?」と冷やかされるたびに焦って否定しようとする私とは違い、中学生の時からから変わることなく女子生徒からも人気があるらしい陶山は、冷やかしすら慣れているのか「違うよ、俺が誘って一緒に飯食ってるだけ」といつも通りの爽やかな笑顔で返す。
真っ直ぐな陶山の隣にいる時間だけは、私も少しだけ、真っ直ぐ生きられるような気がした。
陶山と一緒にお弁当を食べるようになって二週間も立つと、彼と一緒に昼休みを過ごすことに少しだけ慣れてきた。最近陶山はグミにハマっているらしく、毎日コンビニで新しいグミを買ってくる。私は普段あまりグミを食べないし、大好きというわけでもないけれど、食べ比べをして感想を言い合う時間は楽しかった。
さっき食べたグミは、自分の中でトップに入るくらい美味しかった。少し硬めの歯応えで、噛んだ瞬間、少し甘めのピーチの味が口いっぱいに広がる。陶山は「ちょっと甘すぎだな」と微妙な顔をしていたけれど。
今日の帰り、私もコンビニに寄ってグミを探してみようかな。
更衣室で体操服に着替えながらどこのコンビニに寄ろうか考えていた時、強く肩を叩かれた。
千枝と、佳奈美。