【今日、誘ってくれてありがとう。誰かと一緒に出かけたのは久しぶりで楽しかった】
帰り道、電車に乗るや否や、メッセージが届く。
隣を見ると、私の視線に気づいた高橋くんが恥ずかしそうに笑う。
彼の目には優しさが込められていて、思わずドキッとした。
……なんだろう、この感じ。
【私も。頑張って誘ってよかった】
【高橋くん、何度も断るんだもん。どうしようかと思った】と付け加えると、私の返事を見て、高橋くんはククッと肩を震わせた。
【ごめん。俺、本当に誰かと出かけるなんて久しぶりだったから】
【わかってるよ。でも私だって勇気がいたよ?】
拗ねた私に、高橋くんは「ごめんね」とジェスチャーで謝る。
それでも口を尖らせていると、高橋くんから【アイス好き?】という質問と共に、一枚の写真が送られてきた。
アイスクリームケーキだろうか?
白い土台の上に、スーパーボールぐらいの大きさの丸いアイスクリームが数種類乗っている。
【もしアイス好きなら、今度ここのアイスクリームケーキ、一緒に食べに行こう。お詫びに好きな味のケーキ、プレゼントする。もちろんアイスでもいいよ】
【本当!?!?】
【本当だよ。一緒に出かけるのが迷惑じゃなければだけど】
【迷惑なわけないよ。嬉しい、楽しみ】
それから間も無くして、乗り換えの駅に着いて、二人揃って電車を降りた。
ここから先は別々の電車だ。
【じゃあ、またね】
私のメッセージを見た高橋くんは、「うん」と微笑みながら頷くと、胸の前でそっと手を振る。
その仕草が、なんだか二人の距離が縮まった証拠のような気がして嬉しくて、私はいつもより大きく手を振った。