それから私たちは、友梨ちゃんに教えてもらったビーチへ行った。
泳ぐにはまだ寒い季節だからか、友梨ちゃんが言っていた通り遊泳禁止区域だからか、遠くに親子が砂浜で遊んでいるだけで、他に人はいなかった。
水温を確かめようと波が砂浜にやってきた時に手を伸ばすと、右腕に控えめに水しぶきがかかる。
「あ、」
顔をあげると、高橋くんがわざとらしいすまし顔で海を見ている。
【今、水かけたでしょ】
【かけてないよ?】
言い合いをきっかけにニヤリと笑い合うと、何か合図をしたわけでもないのに、お互い靴を脱いで海に入る。
パシャパシャとお互いに水をかけあって、何が楽しいのかわからないけれどケラケラと笑い合っていると、あっという間に夕方になった。