『もうお願いだから、消えて』
ありったけの憎しみが込められた視線で見つめられた瞬間、身体が震えて目が覚めた。
既に太陽がこの世界に顔を出し始めているのか、カーテンの隙間からわずかに光が差し込む。
今のは夢だとわかっているのに、胸の中で苦しみが暴れ回る。
悲しさを追い払うように何度か大きく深呼吸をして、鼓動が平常に戻りかけたことを確かめてからゆっくりと立ち上がり、ベッドのそばにあるカーテンを開ける。
窓の外には眩しいほどの青い空が広がっていた。
「6時57分か……」
予定していた起床時間よりも一時間ほど早い。
しかしさっきの悪夢を思い出すと、もう一度ベッドに戻る気分にはなれず、ゆっくりと部屋着に着替えた。顔を洗って軽くスキンケアだけしてキッチンへ行く。
高橋くんとは、午前十一時に、向日葵畑がある公園の中央ゲートで待ち合わせをしている。
昨日公園について調べていると、公園内には大きな芝生の広場があることを知った。
友梨ちゃん曰く、向日葵畑はどれだけゆっくり見ても一時間あれば見終わるらしい。
見終わってからビニールシートでも敷いてのんびりお弁当を食べられたらいいな。
料理はあまりしないけれど、簡単なおかずなら作れるだろうと、昨晩のうちに色々具材を買い込んでおいたのだった。
早起きをしたおかげで、想定していたよりも豪華なお弁当を作ることができた。
唐揚げは二度揚げしたし、おにぎりも色々な具を入れた。
今日だけは悪夢を見ても悪くなかったかも。