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彼と再会して二ヶ月ほどたってから、私たちは初めて一緒に九重壁を訪れた。
残念ながら今日は曇りで、海の色は、灰色の絵の具が大量に流し込まれたような、かなりくすんだ青色だ。
本当はもっと綺麗なのに。
少し残念に思った私とは反対に、
『綺麗だね、海の匂いがする』
高橋くんは笑顔で大きく息を吸い込んだ。
『ここで鈴木さんに声をかけてもらったんだよ』
これであっていたかな、と迷いながら手と指を動かす。
彼と再会して勉強し始めた手話は、なかなか難しい。
簡単な挨拶や単語は覚えられたけれど、言いたいことを言えない時はまだまだある。
それでも高橋くんは『そうなんだ』と答えてくれたから、きっと今の言葉は伝わったのだろう。
彼と再会して驚いたことはたくさんあった。
元々、こちらの世界でも電車で30分ほどの、比較的近い場所に住んでいたこと。
高橋くんも鈴木さんに声をかけられて世界交流体験をしたこと。
あちらの世界では私と同様、高橋くんも時々鈴木さんとコミュニケーションをとっていたこと。
ちなみに、「高校生が寮に入らず一人暮らしをしているケースはあまりないので、変に怪しまれないように、両親が外国に住んでいる設定にしましょう」と提案したのは、鈴木さんだったらしい。
彼と再会して二ヶ月ほどたってから、私たちは初めて一緒に九重壁を訪れた。
残念ながら今日は曇りで、海の色は、灰色の絵の具が大量に流し込まれたような、かなりくすんだ青色だ。
本当はもっと綺麗なのに。
少し残念に思った私とは反対に、
『綺麗だね、海の匂いがする』
高橋くんは笑顔で大きく息を吸い込んだ。
『ここで鈴木さんに声をかけてもらったんだよ』
これであっていたかな、と迷いながら手と指を動かす。
彼と再会して勉強し始めた手話は、なかなか難しい。
簡単な挨拶や単語は覚えられたけれど、言いたいことを言えない時はまだまだある。
それでも高橋くんは『そうなんだ』と答えてくれたから、きっと今の言葉は伝わったのだろう。
彼と再会して驚いたことはたくさんあった。
元々、こちらの世界でも電車で30分ほどの、比較的近い場所に住んでいたこと。
高橋くんも鈴木さんに声をかけられて世界交流体験をしたこと。
あちらの世界では私と同様、高橋くんも時々鈴木さんとコミュニケーションをとっていたこと。
ちなみに、「高校生が寮に入らず一人暮らしをしているケースはあまりないので、変に怪しまれないように、両親が外国に住んでいる設定にしましょう」と提案したのは、鈴木さんだったらしい。
