「倫のお父さん、あれからどう?」
「お前に会いたがってた」
「今度お見舞い行くね」
「ああ、喜ぶ」


「豆ちゃん、キャッチャーやるんだって」
「そうか」
「あ、言わない約束だった」
「聞かなかったことにしておく」
「向いてるよね、ずっと倫のこと追いかけてる」
「馬鹿だなアイツ」
「嬉しいくせに」


「来週の土日空いてる?」
「稲刈り」
「あ、そっか。手伝う?」
「手痛めるからいい」
「軍手するし大丈夫だよ」
「駄目だ」
「少しは私にも手伝わせて」
「商売道具だろ、大事にしろよ」
「そういう自分は人のこと手伝うくせに」
「俺はいいんだよ」
「良くないよ。本当は野球――」
「お前はここから居なくなるくせに」