いつもうるさくて詮索好きで、わがままで。変に正義感あふれててうざったい奴。
自分とは真逆の健二だが、数ヶ月前に引っ越してきたとは思えないほど、今では当たり前に横にいる。
そんな健二との繋がりがなくなること、笑顔を隣で見られなくなることを、圭人は『嫌だ』と強く思っている。
それは友人としてだと思っていた。
数日前のイルミネーションを見に言った時に薄々気が付いた自分の感情。
否定すればするほど、それを肯定してしまう。
そしていま、健二が離れるという現実を突きつけられてその感情が自分の中で確定した。
(本当に俺、健二が好きなんだ)
チンピラに負けじと立ち向かって言った健二も、犬が怖いと言った健二も。
ウェイターになった大人っぽい健二も。いつも見せる笑顔も。何もかも健二が好きだからと認めたら全てのピースが気持ちいいほどはまる。
恋愛感情に気がついた途端、離れていくことを知るなんてと思う反面ふと圭人はある考えに辿り着く。
どうせこの想いは健二に告げることはできない。同性に、しかも友人に想われていたことを知ったら嫌われるだろう。それならいま、まだ想いが少ないうちに断ち切れば傷は浅くて済む。友人のまま卒業を迎えて離れていく方が、諦めがつく。
(そうだ。むしろその方がいいんだ)
伝えられない想いをもったままずっと友人としてそばにいるくらいなら、離れたほうがマシ、そう結論づけた圭人は胸の痛みに気づかないふりをした。
「さっみー!」
学校からの帰り道、マフラーに顔を半分埋めながら二人歩く。今日は風の強い日で耳が痛くなってしまうほどだ。真っ赤になった耳を手で温め、健二が圭人の横顔をチラチラと見る。
「……何?」
「圭人は、狙う大学決めたん?」
「決めてないよ。迷ってる。お前は決めた? あっちの大学」
「あ……いや、まだ……」
健二には珍しく、はっきりと回答がかえってこなかった。
ひゅう、と2人の間を冷たい風が吹く。体を震わせているとポツリと健二が呟いた。
「圭人はさ、俺が転校してきたとき正直相手するのめんどくさいって思っとったじゃろ」
「えっ」
「態度でバレバレ」
そりゃそうだよな、明らか様だったからなと思いながら
小さく頷く。やっぱりなと健二はいつもの笑顔を向けた。
「それでも、圭人はそばにおってくれた。まあ俺が無理矢理させてたけど。でもあのチンピラのいざこざのとき、一緒にいてくれたのめちゃ嬉しかった」
「……」
突然どうしたんだろうか、と思いながら健二の話を聞く。
「俺な、圭人大好きなんよ」
「う、うん」
「初めて会うた時にすっげえかっこいいやつがおるって思って。友達になりたい一心で付き纏ったんじゃけど、塩対応だった圭人がだんだん懐いてきてくれて」
「お……おう?」
「優しいところもあれば、意地悪なところもあって。クールかと思ったら情に熱いところもあるし」
(褒められてるんだよな? 俺)
「それにさ、女装した時の圭人、めちゃ可愛かった」
「お前からかってんだろ」
「からかってない。じゃけどあのポスター見てたら、やっぱりいつもの圭人の方が好きだなって」
「そうかよ」
少しそっけなく返した圭人の返事を聞き、健二は少し口を尖らせ圭人を見つめた。
自分とは真逆の健二だが、数ヶ月前に引っ越してきたとは思えないほど、今では当たり前に横にいる。
そんな健二との繋がりがなくなること、笑顔を隣で見られなくなることを、圭人は『嫌だ』と強く思っている。
それは友人としてだと思っていた。
数日前のイルミネーションを見に言った時に薄々気が付いた自分の感情。
否定すればするほど、それを肯定してしまう。
そしていま、健二が離れるという現実を突きつけられてその感情が自分の中で確定した。
(本当に俺、健二が好きなんだ)
チンピラに負けじと立ち向かって言った健二も、犬が怖いと言った健二も。
ウェイターになった大人っぽい健二も。いつも見せる笑顔も。何もかも健二が好きだからと認めたら全てのピースが気持ちいいほどはまる。
恋愛感情に気がついた途端、離れていくことを知るなんてと思う反面ふと圭人はある考えに辿り着く。
どうせこの想いは健二に告げることはできない。同性に、しかも友人に想われていたことを知ったら嫌われるだろう。それならいま、まだ想いが少ないうちに断ち切れば傷は浅くて済む。友人のまま卒業を迎えて離れていく方が、諦めがつく。
(そうだ。むしろその方がいいんだ)
伝えられない想いをもったままずっと友人としてそばにいるくらいなら、離れたほうがマシ、そう結論づけた圭人は胸の痛みに気づかないふりをした。
「さっみー!」
学校からの帰り道、マフラーに顔を半分埋めながら二人歩く。今日は風の強い日で耳が痛くなってしまうほどだ。真っ赤になった耳を手で温め、健二が圭人の横顔をチラチラと見る。
「……何?」
「圭人は、狙う大学決めたん?」
「決めてないよ。迷ってる。お前は決めた? あっちの大学」
「あ……いや、まだ……」
健二には珍しく、はっきりと回答がかえってこなかった。
ひゅう、と2人の間を冷たい風が吹く。体を震わせているとポツリと健二が呟いた。
「圭人はさ、俺が転校してきたとき正直相手するのめんどくさいって思っとったじゃろ」
「えっ」
「態度でバレバレ」
そりゃそうだよな、明らか様だったからなと思いながら
小さく頷く。やっぱりなと健二はいつもの笑顔を向けた。
「それでも、圭人はそばにおってくれた。まあ俺が無理矢理させてたけど。でもあのチンピラのいざこざのとき、一緒にいてくれたのめちゃ嬉しかった」
「……」
突然どうしたんだろうか、と思いながら健二の話を聞く。
「俺な、圭人大好きなんよ」
「う、うん」
「初めて会うた時にすっげえかっこいいやつがおるって思って。友達になりたい一心で付き纏ったんじゃけど、塩対応だった圭人がだんだん懐いてきてくれて」
「お……おう?」
「優しいところもあれば、意地悪なところもあって。クールかと思ったら情に熱いところもあるし」
(褒められてるんだよな? 俺)
「それにさ、女装した時の圭人、めちゃ可愛かった」
「お前からかってんだろ」
「からかってない。じゃけどあのポスター見てたら、やっぱりいつもの圭人の方が好きだなって」
「そうかよ」
少しそっけなく返した圭人の返事を聞き、健二は少し口を尖らせ圭人を見つめた。