緋廻でも日常会話のように繰り広げられた会議。お酒を呑み交わし、頼んだメニューを交換し合いながら食べ、何気ない日常に幸せを感じる五人。酒が入ろうとも誓い合った約束事が変わることはない。五人は支えてくれた関係者に感謝を伝え、応援してくれているファンに喜んでもらうために。四人は咲佑に最高の卒業式をプレゼントするために。一人は四人との最後の思い出を作るために。そのためにイベントを開催する。
珍しく酔い潰れた朱鳥と桃凛は机に突っ伏して寝始める。一方の夏生は元々お酒が入るとすぐに寝てしまうタイプで、今夜も会議の途中で夢の世界に片足を突っ込んでいた。咲佑と凉樹は、素面とは言えないものの普段とはあまり変わらない様子で、三人の寝姿を微笑ましく見守りながら話を続ける。
「凉樹、俺のこと支えてくれてありがとな」
「なんだよ、急に」
「何でもない。ただお礼が言いたかっただけ」
「なんだよ、それ」
呆れた様子を見せつつも、赤らむ耳を隠しながら笑う凉樹。咲佑はそんな凉樹の可愛い一面をずっと傍で見続けていたいと秘かに願う。
「One for All, All for One」
咲佑が囁く。それを耳にした凉樹は力が抜けたように頬を緩めた。
「それ、社長が大事にしてる言葉」
「社長もだけど、俺らだってモットーにしてる言葉だろ?」
「ああ。そうだな」
「結成当初から掲げてきたモットーを存分に発揮するとき、俺らどんな想いでいるんだろうな」
「今はまだ分からない。でも、きっとモットー以上のことが俺らにはできるんじゃないか」
「そうだよな」
凉樹の手によって熱燗から注がれる日本酒。美しいほどに透き通っている。
「咲佑は四人のために、俺ら四人は咲佑のために。できることならなんだってやる。それしかないんじゃないかな」
「うん」
「俺はどんなに難しいって言われることだって諦めない。妥協しない」
「何で?」
「それは、ナンバーワン、最高到達点を求めてるからに決まってるだろ?」
そう凉樹が言った途端、空気はしんみりとした。自分の発言が恥ずかしくなったのか、凉樹は急ぐ感じで日本酒を口に含ませる。
「カッケーこと言うじゃん」
頬が、耳が熱を帯びていく。
「なぁ咲佑」
「何?」
「俺らって、これからも友達でいられるよな」
「は? 今さら何言ってんだよ」
「ハハッ、だよな。はあ、俺何言ってんだろ。流石に呑み過ぎたかな」
凉樹は頭をゆっくりと後ろに傾け、木目がハッキリと浮き出た天井を眺めながら、自分に呆れたように笑った。そのとき、凉樹の瞳から一筋の涙が零れていた。
「友達。いや、もっと上を目指せる気がする」
「ん? どういうこと?」
咲佑の発言に、凉樹は仰け反っていた身体を戻して聞き返す。
「ううん。何でもない」
「でも、いつまでも馬鹿やってたいよな」
「そうだな」
「俺さ、どうしても叶えたい夢があるんだ」
「夢? どんな?」
「いつかお前にとっての最高の男になること」
「え、それが夢? 小っさ」
「いやいや、夢に大きさとか関係ないだろ」
「……、もうなってるよ」
「え?」
「どんな凉樹だって、俺にとったら最高の男だよ」
珍しく酔い潰れた朱鳥と桃凛は机に突っ伏して寝始める。一方の夏生は元々お酒が入るとすぐに寝てしまうタイプで、今夜も会議の途中で夢の世界に片足を突っ込んでいた。咲佑と凉樹は、素面とは言えないものの普段とはあまり変わらない様子で、三人の寝姿を微笑ましく見守りながら話を続ける。
「凉樹、俺のこと支えてくれてありがとな」
「なんだよ、急に」
「何でもない。ただお礼が言いたかっただけ」
「なんだよ、それ」
呆れた様子を見せつつも、赤らむ耳を隠しながら笑う凉樹。咲佑はそんな凉樹の可愛い一面をずっと傍で見続けていたいと秘かに願う。
「One for All, All for One」
咲佑が囁く。それを耳にした凉樹は力が抜けたように頬を緩めた。
「それ、社長が大事にしてる言葉」
「社長もだけど、俺らだってモットーにしてる言葉だろ?」
「ああ。そうだな」
「結成当初から掲げてきたモットーを存分に発揮するとき、俺らどんな想いでいるんだろうな」
「今はまだ分からない。でも、きっとモットー以上のことが俺らにはできるんじゃないか」
「そうだよな」
凉樹の手によって熱燗から注がれる日本酒。美しいほどに透き通っている。
「咲佑は四人のために、俺ら四人は咲佑のために。できることならなんだってやる。それしかないんじゃないかな」
「うん」
「俺はどんなに難しいって言われることだって諦めない。妥協しない」
「何で?」
「それは、ナンバーワン、最高到達点を求めてるからに決まってるだろ?」
そう凉樹が言った途端、空気はしんみりとした。自分の発言が恥ずかしくなったのか、凉樹は急ぐ感じで日本酒を口に含ませる。
「カッケーこと言うじゃん」
頬が、耳が熱を帯びていく。
「なぁ咲佑」
「何?」
「俺らって、これからも友達でいられるよな」
「は? 今さら何言ってんだよ」
「ハハッ、だよな。はあ、俺何言ってんだろ。流石に呑み過ぎたかな」
凉樹は頭をゆっくりと後ろに傾け、木目がハッキリと浮き出た天井を眺めながら、自分に呆れたように笑った。そのとき、凉樹の瞳から一筋の涙が零れていた。
「友達。いや、もっと上を目指せる気がする」
「ん? どういうこと?」
咲佑の発言に、凉樹は仰け反っていた身体を戻して聞き返す。
「ううん。何でもない」
「でも、いつまでも馬鹿やってたいよな」
「そうだな」
「俺さ、どうしても叶えたい夢があるんだ」
「夢? どんな?」
「いつかお前にとっての最高の男になること」
「え、それが夢? 小っさ」
「いやいや、夢に大きさとか関係ないだろ」
「……、もうなってるよ」
「え?」
「どんな凉樹だって、俺にとったら最高の男だよ」