その日の午後
ヘンリックとクラークは石の入った箱を持って教会にやって来た。
神官長にこれまでの事を話した。
神官長は
「私もこの石の呪いを解けるのは白魔力だけだと思います。」石を見てそう答えた。
そしてヘンリックに
「貴方が幾つもの魔力を持って生まれたのは、何かの意味があったのかもしれませんね。今、幼少の頃の封印が少し解けかけて魔力が少し漏れ出てます。それを石が感じ取ったのでしょう。今は魔力の器も大きく成長し充分な大きさになっているでしょう。ただし、魔力の解放は身体に負担がかかりますが大丈夫ですか?」
「覚悟しています。」
「解放後はいくつもの魔力を制御しながらそれぞれを使いこなせるように訓練が必要になるでしょう。」
「使いこなすにはどのくらいの時間がかかりますか?」
「普通は優秀な魔法師に教えてもらったとしても3〜10年ほどでしょうか。素質があれば、もっと早く出来るかもしれませんね。」
「素質は…どうかな…。」ヘンリックはこれまで魔力を使うことは無かった。
そこでクラークが「心配しなくて大丈夫です。私が教えます。これでも私、王宮の魔法師団長ですから。」
「そうですか。それは心強い。封印を解いた後、何日かは魔力が暴れてまわりに影響を与える事もあります。影響が出てもいいように結界を張っておく必要があります。この教会の地下に結界を張った部屋があるのでそこで行います。他の神官にも手伝ってもらいましょう。私は準備をしますね。少しお待ち下さい。」
そう神官長は言い席を立った。
しばらくして、数人の神官と共に神官長がやって来た。
「準備が出来ました。さあこちらへ。」2人は地下室に案内された。
長い階段を降りて長い廊下の先に大きな扉があった。
神官長は「貴方はここでお待ち下さい。」と扉の前で、クラークに言った。
クラークはそこからは入れないようだ。
「では、私はここでお待ちしています。」そう言い廊下で待つことにした。
神官長は扉を開けヘンリックを中へ入れた。
扉の中は地下なのに明るく広い部屋で床の中央には大きな魔法陣があった。
その中にヘンリックは寝かされる。
神官達は魔法陣の周りを囲む。
神官長は
「今から行います。心の準備はよろしいですか?」ヘンリックにそう問いかける。
「はい大丈夫です。お願します。」ヘンリックは目をつぶった。
神官長が呪文を唱え魔法陣を発動させた。
周りの神官たちは魔力を注ぎ込む。
するとヘンリックは顔を歪め胸の辺りを掻きむしるようにして苦しんでいる。
周りの神官長や神官たちも額から汗を流し力を注ぎ込む。
夜が明ける頃、神官長たちが扉から出て来た。
「無事に解除できました。あとは魔力がおさまるまでここに居てもらいます。」
「お疲れ様でした。あとどのくらいかかりそうですか?」
「思った以上に器が大きく成長していたようなので今日のうちには出てくると思いますよ。」
「わかりました。私はここで待ってきます。」
クラークはまたここで待つことにした。
神官長達は皆疲れた顔をしふらふらとしながらその場から立ち去った。
クラークは待つ間にヘンリックの特訓について考えた。
あの聖獣はヘンリック様から白魔力が出ていたと言っていた。もしかして知らず知らずに使っていたのかも。そうであれば使いこなすのはそれほど難しくないかもしれない。
なんとしてもアレン王子達を救ってもらわねば。
ここは地下、外の様子はわからない。
そろそろ夜になる頃だろうかそうクラークがそう思っていた時、扉が開いた。
疲れた様子のヘンリックが出て来たのだ。
「ヘンリック殿!大丈夫ですか。」クラークが駆け寄ると「なんとか制御はできたみたい。」そういうと倒れ込んだ。
クラークはヘンリックの肩を抱いて地下から階段を登った。
登った先で神官がいた。
「こちらでおやすみ下さい。」そう言ってベッドのある部屋まで案内してくれた。
ヘンリックをベッドに寝かせてクラークは少しだけ安心した。
そこに神官長がやって来た。
「思ったより早かったです。少し休んだらもう大丈夫です。あとは使いこなすだけですから。貴方もお疲れ様でしょう。お食事を召し上がって休んで下さい。」
神官が食事を持って来た。
パンに野菜がたくさん入ったスープ。それにフルーツ。特別豪華でもない食事。
それを見てクラークは昨日から食べていなかったのを思い出した。急に空腹を感じて食べ始めた。なんて美味しいのか?
空腹は最高のスパイスだと誰かが言っていたけど、本当だと思った。
次の日の朝、目を覚ましたヘンリックはあんなに苦しかったのにもう苦しくない。
むしろ身体から何かが溢れ出ているように感じた。
クラークは「それが、魔力なんですよ。」そう言った。
それから神官が食事を持って来た。
パンに牛乳に野菜が入ったスープ、それを食べ神官長に会いに行った。
神官長は「魔力は安定しているようですね。
それでは魔力の色を見てみましょう。」そう言って祭壇まで案内をした。そこにある水晶玉に手をかざすように促した。
すると、白黒青緑赤の光がぐるぐると渦巻き状映る。
特に白の光が強く、次に青い光が強かった。
黒緑赤は同じぐらいだった。
「主に白、次は青、黒緑赤は同じぐらいですね。全体的に魔力が大きいので、黒緑赤は小さく見えましたが普通以上の強さだと思っていいでしょう。」
このような水晶の光をクラークは見た事が無かった。多くても3つの光ぐらいだ。
この、ヘンリックという男はすごい人材だと思った。
「これで、私達ができる事は終わりです。魔力の使い方については訓練のみです。頑張って下さい。それと他者によっては、白魔力は非常に珍しく利用価値もありますからなるべく知られることのないようにした方がいいでしょう。ある程度の訓練が終わったらまたここに来て下さい。」
クラークは「はい。わかりました。私はヘンリック殿の秘密を守ると誓います。」
ヘンリックは「神官長さま、私の魔力は悪い事には使わないと誓います。ありがとうございます。」
石は神官長に預ける事になった。
それから2人は教会を後にした。
さぁ次は特訓だ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その頃、
ブリーズ国王はクラークからの手紙を読んでいた。
「おぉ、我が息子達よ。なんと石にされていたとは。早く呪いを解除して無事に戻る事を祈っておるぞ。」
「あぁ、神様 息子たちをお願いします。」王妃は手を合わせて神に祈った。
国王はさっそく、グラン国に書簡を送ることにし王宮魔法士団3人に届けさせることにした。
ゲートを使えば2日ほどで着くくだろう。
ヘンリックとクラークは石の入った箱を持って教会にやって来た。
神官長にこれまでの事を話した。
神官長は
「私もこの石の呪いを解けるのは白魔力だけだと思います。」石を見てそう答えた。
そしてヘンリックに
「貴方が幾つもの魔力を持って生まれたのは、何かの意味があったのかもしれませんね。今、幼少の頃の封印が少し解けかけて魔力が少し漏れ出てます。それを石が感じ取ったのでしょう。今は魔力の器も大きく成長し充分な大きさになっているでしょう。ただし、魔力の解放は身体に負担がかかりますが大丈夫ですか?」
「覚悟しています。」
「解放後はいくつもの魔力を制御しながらそれぞれを使いこなせるように訓練が必要になるでしょう。」
「使いこなすにはどのくらいの時間がかかりますか?」
「普通は優秀な魔法師に教えてもらったとしても3〜10年ほどでしょうか。素質があれば、もっと早く出来るかもしれませんね。」
「素質は…どうかな…。」ヘンリックはこれまで魔力を使うことは無かった。
そこでクラークが「心配しなくて大丈夫です。私が教えます。これでも私、王宮の魔法師団長ですから。」
「そうですか。それは心強い。封印を解いた後、何日かは魔力が暴れてまわりに影響を与える事もあります。影響が出てもいいように結界を張っておく必要があります。この教会の地下に結界を張った部屋があるのでそこで行います。他の神官にも手伝ってもらいましょう。私は準備をしますね。少しお待ち下さい。」
そう神官長は言い席を立った。
しばらくして、数人の神官と共に神官長がやって来た。
「準備が出来ました。さあこちらへ。」2人は地下室に案内された。
長い階段を降りて長い廊下の先に大きな扉があった。
神官長は「貴方はここでお待ち下さい。」と扉の前で、クラークに言った。
クラークはそこからは入れないようだ。
「では、私はここでお待ちしています。」そう言い廊下で待つことにした。
神官長は扉を開けヘンリックを中へ入れた。
扉の中は地下なのに明るく広い部屋で床の中央には大きな魔法陣があった。
その中にヘンリックは寝かされる。
神官達は魔法陣の周りを囲む。
神官長は
「今から行います。心の準備はよろしいですか?」ヘンリックにそう問いかける。
「はい大丈夫です。お願します。」ヘンリックは目をつぶった。
神官長が呪文を唱え魔法陣を発動させた。
周りの神官たちは魔力を注ぎ込む。
するとヘンリックは顔を歪め胸の辺りを掻きむしるようにして苦しんでいる。
周りの神官長や神官たちも額から汗を流し力を注ぎ込む。
夜が明ける頃、神官長たちが扉から出て来た。
「無事に解除できました。あとは魔力がおさまるまでここに居てもらいます。」
「お疲れ様でした。あとどのくらいかかりそうですか?」
「思った以上に器が大きく成長していたようなので今日のうちには出てくると思いますよ。」
「わかりました。私はここで待ってきます。」
クラークはまたここで待つことにした。
神官長達は皆疲れた顔をしふらふらとしながらその場から立ち去った。
クラークは待つ間にヘンリックの特訓について考えた。
あの聖獣はヘンリック様から白魔力が出ていたと言っていた。もしかして知らず知らずに使っていたのかも。そうであれば使いこなすのはそれほど難しくないかもしれない。
なんとしてもアレン王子達を救ってもらわねば。
ここは地下、外の様子はわからない。
そろそろ夜になる頃だろうかそうクラークがそう思っていた時、扉が開いた。
疲れた様子のヘンリックが出て来たのだ。
「ヘンリック殿!大丈夫ですか。」クラークが駆け寄ると「なんとか制御はできたみたい。」そういうと倒れ込んだ。
クラークはヘンリックの肩を抱いて地下から階段を登った。
登った先で神官がいた。
「こちらでおやすみ下さい。」そう言ってベッドのある部屋まで案内してくれた。
ヘンリックをベッドに寝かせてクラークは少しだけ安心した。
そこに神官長がやって来た。
「思ったより早かったです。少し休んだらもう大丈夫です。あとは使いこなすだけですから。貴方もお疲れ様でしょう。お食事を召し上がって休んで下さい。」
神官が食事を持って来た。
パンに野菜がたくさん入ったスープ。それにフルーツ。特別豪華でもない食事。
それを見てクラークは昨日から食べていなかったのを思い出した。急に空腹を感じて食べ始めた。なんて美味しいのか?
空腹は最高のスパイスだと誰かが言っていたけど、本当だと思った。
次の日の朝、目を覚ましたヘンリックはあんなに苦しかったのにもう苦しくない。
むしろ身体から何かが溢れ出ているように感じた。
クラークは「それが、魔力なんですよ。」そう言った。
それから神官が食事を持って来た。
パンに牛乳に野菜が入ったスープ、それを食べ神官長に会いに行った。
神官長は「魔力は安定しているようですね。
それでは魔力の色を見てみましょう。」そう言って祭壇まで案内をした。そこにある水晶玉に手をかざすように促した。
すると、白黒青緑赤の光がぐるぐると渦巻き状映る。
特に白の光が強く、次に青い光が強かった。
黒緑赤は同じぐらいだった。
「主に白、次は青、黒緑赤は同じぐらいですね。全体的に魔力が大きいので、黒緑赤は小さく見えましたが普通以上の強さだと思っていいでしょう。」
このような水晶の光をクラークは見た事が無かった。多くても3つの光ぐらいだ。
この、ヘンリックという男はすごい人材だと思った。
「これで、私達ができる事は終わりです。魔力の使い方については訓練のみです。頑張って下さい。それと他者によっては、白魔力は非常に珍しく利用価値もありますからなるべく知られることのないようにした方がいいでしょう。ある程度の訓練が終わったらまたここに来て下さい。」
クラークは「はい。わかりました。私はヘンリック殿の秘密を守ると誓います。」
ヘンリックは「神官長さま、私の魔力は悪い事には使わないと誓います。ありがとうございます。」
石は神官長に預ける事になった。
それから2人は教会を後にした。
さぁ次は特訓だ。
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その頃、
ブリーズ国王はクラークからの手紙を読んでいた。
「おぉ、我が息子達よ。なんと石にされていたとは。早く呪いを解除して無事に戻る事を祈っておるぞ。」
「あぁ、神様 息子たちをお願いします。」王妃は手を合わせて神に祈った。
国王はさっそく、グラン国に書簡を送ることにし王宮魔法士団3人に届けさせることにした。
ゲートを使えば2日ほどで着くくだろう。