次の日、
アリーナが朝からソワソワしている。
「ブルーノ。今日は私たち、ちょっと出かけることになったの。だから貴方たちも王宮の外に出かけてもいいわよ。特別に今日はお小遣いもあげるわ。」
「アリーナどうかしたのかにゃ?」
「な、何でもないわ。ヘンリックそろそろ行かないと。」
「あ、あぁ、そうだね。」
「ブルーノ。今日だよね?しっかりね。」
「あぁ、そうだったにゃ…。頑張るにゃ。」
「何を頑張るにゃん?」お嬢さんが聞く。
「ん、ちょっとなー。」ブルーノは目線を逸らしている。
「にゃん?」
「じゃあ、行ってくるねー。」
「じゃあね。」ヘンリックはブルーノの頭を撫でて出掛けて行った。
「いってらっしゃいにゃー。」
「行ってらっしゃいませにゃん。」
2匹が見送った。
「じゃあ、オレたちも出掛けるにゃ。」
「はいにゃん。」
2匹は人型になりおめかしをして出掛けた。
ブルーノはアリーナたちに貰った箱とお小遣いを肩掛けのバッグに入れて持って行った。
西の森へ行くには市場を通って行く。
市場では、美味しそうな匂いがする。
「いい匂いがするにゃー。なんか食べるかにゃ。」
「はい、食べたいですにゃん。」
ふたりはお小遣いでお肉やお魚の串焼きやクレープやポップコーンなどを買ってベンチに座った。「美味しいにゃー。」「そうですにゃん。」そう言いながら仲良く食べた。
その後、雑貨屋さんや本屋さんを呑気にまわって歩いていた。
雑貨屋さんではブルーノがお嬢さんに髪飾りを買ってあげた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
先に出掛けたアリーナとヘンリックは西の森の入り口に来ていた。
「やっぱり心配だよね?」
「そうだよ。僕、今からドキドキしてる。」
「ヘンリックが緊張してどうするの?」
「いや、なんかさーブルーノだからね。ちゃんとここまで来るかな?
「あれっ?ヘンリック、あれ見て。」
入り口に「本日、森を封鎖中」の立て札が立っていた。そしてそこに騎士が立っていた。
「今日は入れないのですか?」とヘンリックがきいた。「皇太子の命で封鎖されています。」と騎士に言われた。
「えぇ困るわ。今日はブルーノが…」
アリーナがそう言いかけたとき、クラークが
「こんにちは。ブルーライト伯爵、夫人。」とやって来た。
「こんにちは、クラークさん。どうしましょう。今日はブルーノの大切な日なんです。ここに入れないと困るんです。」
「ははっ安心して下さい。今日はブルーノ君の為に貸し切りにしたんですよ。」
「貸し切り?誰がですか?」
「皇太子です。グラン国の第一王子がうちの皇太子に頼んだのですよ。」
「えぇ?」
「何でも、友達の大切な日になるからと。誰にも邪魔されない様にしてあげて欲しいとね。」
「まぁ、そんなことが?」アリーナはヘンリックと顔を見合わせた。
3人が話をしていると、ホワイティス伯爵夫妻とディビッドがやって来た。
「お父様、お母様それにディビッドまで…。」
「いやぁ、心配でねぇ。」
「うちの子の一大事ですもの。」
「ちょっと、僕、興味があって…。」
アリーナは呆れた顔で
「それは、そうだけど…。」
などと話をしていると今度はアンダーソン公爵夫妻とビルバーグがやって来た。
「父上まで…。」
「いやぁ、アレの大事と聞いてな…。」
「小さい時からのお付き合いですからねぇ。」
「俺?俺はそのーまーヘンリックの家の子だから?来てみたかったんだ。」
「こんな、大人数でどうするんですか?」
もう、わちゃわちゃである。
そこで、クラークは
「この入り口ではなく別の入り口から入れますよ。あとはーみなさんは姿が見えなくする結界を張りましょう。結界の外に話し声は聞こえますから声は出さないようにして下さいね。」そう言うと別の入り口から案内された。
「影からの報告ではブルーノくんは今市場にいるようですねー。ベンチに座ってるようです。もう少し時間はかかるでしょう。」
ヘンリックとアリーナは
「わぁ影まで使ってるんだぁ。」とヘンリックは驚く。
「お小遣いあげたから、きっとふたりでなんか食べてるわ。」
「それを想定してお小遣いあげたんでしょ?」
「そうだけど、朝はちゃんと食べたのに…。」
「今は雑貨屋で買い物をしてるようですね。」
「雑貨屋さん?何買ったんだろうね。」
「食べ物以外に興味無さそうだけど…。」
「今度は本屋ですね。」
「本?それも興味無さそう。」
どうやら影はクラークに細かく報告をしているようだった。
「市場の通りは過ぎたようです。まっすぐ来ればそろそろ着きますね。」
「もうすぐか。僕、緊張しちゃうよ。」
「ディビッドが緊張してどうするの。」
「それはそうだけど…」
その頃、ブルーノはなんだか変な魔力を感じていた。
危険な感じではないんだけどなー?
見られてるみたいな?なんだろうなー?
まわりを見ても不審な者はいなかった。
「ブルーノくん、何かを感じているようですね。さすが聖獣ですね。こちらでも気をつけましょう。」
ヘンリックとアリーナは
「ブルーノは魔力強いからね。影の魔力を察知したんだと思うよ。」
「えっ?そうなの?ブルーノって魔力強いの?」
「うん、かなり強いよ。」
「へぇー知らなかったわ。ただの食いしん坊の聖獣だと思ってた。」
「ハハっそうだね。」
「入り口に来ましたよ。さぁ、我々はあっちの方で見守りましょう。」
「いよいよだね?」
「そうね。」
「うわぁ、緊張するぅ。」
「うむ。」
一同はそそっと移動をする。
入り口に来たブルーノは
「ここだにゃ。よし、入るにゃ。」
気合いを入れる。
ふたりは自然に手を繋いで花畑を目指した。
木々の間に整備された道がある。
花畑まで真っ直ぐだ。
「ここは葉っぱの香りがするにゃー。」
「いい香りですにゃん。」
「この先だにゃ。少し花の香りがするにゃー。」
「本当だ、いい香りですにゃん。」
「もう少しかにゃ?」
すると、森に囲まれた広い花畑が見えた。
「凄いにゃー。」
「綺麗ですにゃん。」
ふたりは花畑に入って行く。
第一王子が見頃だと言っていたとおりだった。
白、赤、黄色、ピンク、水色色とりどりの花が咲いていた。
「わぁすごいですにゃん。」と駆け回る。
ブルーノは深呼吸をする。
「ふぅー。はぁー。」
ドキドキと心臓が破裂しそうだ。
せっかくアイツがここを教えてくれたんだ。
落ち着こう…オレ…落ち着くんだ。
ブルーノは花を摘んで冠を作った。
作っているうちに少し落ち着いてきた。
走り回っていたお嬢さんがブルーノのところへ戻って来た。
「これを、あげるにゃ。」そう言ってお嬢さんの頭に花冠をのせてあげる。
「とても似合ってるにゃ。凄く綺麗だにゃ。」ブルーノは微笑んでお嬢さんを見る。
「ありがとうにゃん。嬉しいにゃん。」お嬢さんはとても嬉しそうにブルーノを見る。
ふたりは見つめあった。
そしてブルーノはカバンから箱を出した。
「これをふたりで着けるにゃ。」そう言って、金のブレスレットをお嬢さんの左腕に着けた。
お嬢さんは青いブレスレットをブルーノの左腕につける。
「嬉しいですにゃん。こんなに綺麗な物を貰っていいのですかにゃん?」
「いーのにゃ。ほら、お揃いだにゃ。」
ブルーノ、今、今だ。
「これから名付けの儀式をするにゃ。いいかにゃ?」
「はい。お願いしますにゃん。」
ブルーノはお嬢さんの手を取って花畑の真ん中にやって来た。
ブルーノはお嬢さんの両手を自分の両手で繋ぎ
見つめ合う。
「我は、聖獣ブルーノ。
汝を我が生涯の伴侶として名前をさずける。」
「はい。」
「汝の名は、シルキーナ。
シルキーナを我が伴侶として生涯を共にすると誓う。」はっきりとした大きな声でブルーノが誓いの言葉を言う。
それに、
「我が名はシルキーナ。
ブルーノを伴侶として生涯を共にすると誓います。」と応える。
すると…。
ふたりの手から光が溢れ出た。
その光は暖かく2人を包み大きくなっていく。
ふたりの額に光の紋様が現れそして消えていく。
そして、ブルーノはシルキーナを抱きしめてキスをした。
ふたりはこれで夫婦となった。
これで名付け(番)の儀式は終わった。
アリーナが朝からソワソワしている。
「ブルーノ。今日は私たち、ちょっと出かけることになったの。だから貴方たちも王宮の外に出かけてもいいわよ。特別に今日はお小遣いもあげるわ。」
「アリーナどうかしたのかにゃ?」
「な、何でもないわ。ヘンリックそろそろ行かないと。」
「あ、あぁ、そうだね。」
「ブルーノ。今日だよね?しっかりね。」
「あぁ、そうだったにゃ…。頑張るにゃ。」
「何を頑張るにゃん?」お嬢さんが聞く。
「ん、ちょっとなー。」ブルーノは目線を逸らしている。
「にゃん?」
「じゃあ、行ってくるねー。」
「じゃあね。」ヘンリックはブルーノの頭を撫でて出掛けて行った。
「いってらっしゃいにゃー。」
「行ってらっしゃいませにゃん。」
2匹が見送った。
「じゃあ、オレたちも出掛けるにゃ。」
「はいにゃん。」
2匹は人型になりおめかしをして出掛けた。
ブルーノはアリーナたちに貰った箱とお小遣いを肩掛けのバッグに入れて持って行った。
西の森へ行くには市場を通って行く。
市場では、美味しそうな匂いがする。
「いい匂いがするにゃー。なんか食べるかにゃ。」
「はい、食べたいですにゃん。」
ふたりはお小遣いでお肉やお魚の串焼きやクレープやポップコーンなどを買ってベンチに座った。「美味しいにゃー。」「そうですにゃん。」そう言いながら仲良く食べた。
その後、雑貨屋さんや本屋さんを呑気にまわって歩いていた。
雑貨屋さんではブルーノがお嬢さんに髪飾りを買ってあげた。
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先に出掛けたアリーナとヘンリックは西の森の入り口に来ていた。
「やっぱり心配だよね?」
「そうだよ。僕、今からドキドキしてる。」
「ヘンリックが緊張してどうするの?」
「いや、なんかさーブルーノだからね。ちゃんとここまで来るかな?
「あれっ?ヘンリック、あれ見て。」
入り口に「本日、森を封鎖中」の立て札が立っていた。そしてそこに騎士が立っていた。
「今日は入れないのですか?」とヘンリックがきいた。「皇太子の命で封鎖されています。」と騎士に言われた。
「えぇ困るわ。今日はブルーノが…」
アリーナがそう言いかけたとき、クラークが
「こんにちは。ブルーライト伯爵、夫人。」とやって来た。
「こんにちは、クラークさん。どうしましょう。今日はブルーノの大切な日なんです。ここに入れないと困るんです。」
「ははっ安心して下さい。今日はブルーノ君の為に貸し切りにしたんですよ。」
「貸し切り?誰がですか?」
「皇太子です。グラン国の第一王子がうちの皇太子に頼んだのですよ。」
「えぇ?」
「何でも、友達の大切な日になるからと。誰にも邪魔されない様にしてあげて欲しいとね。」
「まぁ、そんなことが?」アリーナはヘンリックと顔を見合わせた。
3人が話をしていると、ホワイティス伯爵夫妻とディビッドがやって来た。
「お父様、お母様それにディビッドまで…。」
「いやぁ、心配でねぇ。」
「うちの子の一大事ですもの。」
「ちょっと、僕、興味があって…。」
アリーナは呆れた顔で
「それは、そうだけど…。」
などと話をしていると今度はアンダーソン公爵夫妻とビルバーグがやって来た。
「父上まで…。」
「いやぁ、アレの大事と聞いてな…。」
「小さい時からのお付き合いですからねぇ。」
「俺?俺はそのーまーヘンリックの家の子だから?来てみたかったんだ。」
「こんな、大人数でどうするんですか?」
もう、わちゃわちゃである。
そこで、クラークは
「この入り口ではなく別の入り口から入れますよ。あとはーみなさんは姿が見えなくする結界を張りましょう。結界の外に話し声は聞こえますから声は出さないようにして下さいね。」そう言うと別の入り口から案内された。
「影からの報告ではブルーノくんは今市場にいるようですねー。ベンチに座ってるようです。もう少し時間はかかるでしょう。」
ヘンリックとアリーナは
「わぁ影まで使ってるんだぁ。」とヘンリックは驚く。
「お小遣いあげたから、きっとふたりでなんか食べてるわ。」
「それを想定してお小遣いあげたんでしょ?」
「そうだけど、朝はちゃんと食べたのに…。」
「今は雑貨屋で買い物をしてるようですね。」
「雑貨屋さん?何買ったんだろうね。」
「食べ物以外に興味無さそうだけど…。」
「今度は本屋ですね。」
「本?それも興味無さそう。」
どうやら影はクラークに細かく報告をしているようだった。
「市場の通りは過ぎたようです。まっすぐ来ればそろそろ着きますね。」
「もうすぐか。僕、緊張しちゃうよ。」
「ディビッドが緊張してどうするの。」
「それはそうだけど…」
その頃、ブルーノはなんだか変な魔力を感じていた。
危険な感じではないんだけどなー?
見られてるみたいな?なんだろうなー?
まわりを見ても不審な者はいなかった。
「ブルーノくん、何かを感じているようですね。さすが聖獣ですね。こちらでも気をつけましょう。」
ヘンリックとアリーナは
「ブルーノは魔力強いからね。影の魔力を察知したんだと思うよ。」
「えっ?そうなの?ブルーノって魔力強いの?」
「うん、かなり強いよ。」
「へぇー知らなかったわ。ただの食いしん坊の聖獣だと思ってた。」
「ハハっそうだね。」
「入り口に来ましたよ。さぁ、我々はあっちの方で見守りましょう。」
「いよいよだね?」
「そうね。」
「うわぁ、緊張するぅ。」
「うむ。」
一同はそそっと移動をする。
入り口に来たブルーノは
「ここだにゃ。よし、入るにゃ。」
気合いを入れる。
ふたりは自然に手を繋いで花畑を目指した。
木々の間に整備された道がある。
花畑まで真っ直ぐだ。
「ここは葉っぱの香りがするにゃー。」
「いい香りですにゃん。」
「この先だにゃ。少し花の香りがするにゃー。」
「本当だ、いい香りですにゃん。」
「もう少しかにゃ?」
すると、森に囲まれた広い花畑が見えた。
「凄いにゃー。」
「綺麗ですにゃん。」
ふたりは花畑に入って行く。
第一王子が見頃だと言っていたとおりだった。
白、赤、黄色、ピンク、水色色とりどりの花が咲いていた。
「わぁすごいですにゃん。」と駆け回る。
ブルーノは深呼吸をする。
「ふぅー。はぁー。」
ドキドキと心臓が破裂しそうだ。
せっかくアイツがここを教えてくれたんだ。
落ち着こう…オレ…落ち着くんだ。
ブルーノは花を摘んで冠を作った。
作っているうちに少し落ち着いてきた。
走り回っていたお嬢さんがブルーノのところへ戻って来た。
「これを、あげるにゃ。」そう言ってお嬢さんの頭に花冠をのせてあげる。
「とても似合ってるにゃ。凄く綺麗だにゃ。」ブルーノは微笑んでお嬢さんを見る。
「ありがとうにゃん。嬉しいにゃん。」お嬢さんはとても嬉しそうにブルーノを見る。
ふたりは見つめあった。
そしてブルーノはカバンから箱を出した。
「これをふたりで着けるにゃ。」そう言って、金のブレスレットをお嬢さんの左腕に着けた。
お嬢さんは青いブレスレットをブルーノの左腕につける。
「嬉しいですにゃん。こんなに綺麗な物を貰っていいのですかにゃん?」
「いーのにゃ。ほら、お揃いだにゃ。」
ブルーノ、今、今だ。
「これから名付けの儀式をするにゃ。いいかにゃ?」
「はい。お願いしますにゃん。」
ブルーノはお嬢さんの手を取って花畑の真ん中にやって来た。
ブルーノはお嬢さんの両手を自分の両手で繋ぎ
見つめ合う。
「我は、聖獣ブルーノ。
汝を我が生涯の伴侶として名前をさずける。」
「はい。」
「汝の名は、シルキーナ。
シルキーナを我が伴侶として生涯を共にすると誓う。」はっきりとした大きな声でブルーノが誓いの言葉を言う。
それに、
「我が名はシルキーナ。
ブルーノを伴侶として生涯を共にすると誓います。」と応える。
すると…。
ふたりの手から光が溢れ出た。
その光は暖かく2人を包み大きくなっていく。
ふたりの額に光の紋様が現れそして消えていく。
そして、ブルーノはシルキーナを抱きしめてキスをした。
ふたりはこれで夫婦となった。
これで名付け(番)の儀式は終わった。