お腹いっぱい食べたブルーノたちは、ダンスを踊る。
ブルーノとお嬢さんがペアになって踊った。
もともと、聖獣は運動神経がいいのでちゃんと踊れた。
「楽しいにゃ。」
「はい。楽しいですにゃん。」ふたりは笑いながら踊る。

それを少し離れた所でアンダーソン公爵とホワイティス伯爵が見ていた。
「ほう、様になってるじゃないか?」
「そうなんですよ。なかなかの美男美女でしよ?」
「そうだな。でもアレが恋?信じられんな。」
「そう、アレが恋しちゃってね。」
「あの、アレがなー。ププッ。」
「私はいつまでもアレはそのままだと思ったんですがね。」と少し寂しそう。
「成長したということだな。それでも、フフッ。ハハっ。アレがなー。そうかそうかー。」
とまぁいつもの笑い上戸が…。

ヘンリックとアリーナは踊り疲れてバルコニーで休憩をする。
「疲れたー。」
「そうだね。ちょっと疲れたかな?」
飲み物を飲んで風にあたる。
「涼しいー。」
「本当だー。」
「ヘンリック、明日ね晩餐会の前にブルーノに渡そうと思うの。」
「明日だね。わかった。」
「ブルーノどんな顔するかしら?」
「ふふっ楽しみだね。」



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今日は、昨日立太子となったアレン皇太子の結婚式だ。アレン皇太子のお相手はあの一緒に石にされていたご令嬢だ。
ふたりは美男美女。

結婚式の間ブルーノは考えていた。
「あの花嫁さんは綺麗ですにゃん。」
「そうかにゃ?普通だと思うにゃ。」
お前の方が綺麗だなんて言えないー!
言えたら?言う?言わない?ー
「わぁ、素敵ねー?」
「そうだね。でも、アリーナの方が素敵だよ。」
「フフッありがとう。」
ヘンリックは簡単に言えるのになー
オレだってもっと褒めてあげたいなー

式が終わり一度王宮に戻る。
当てがわれた部屋でブルーノたちはまたベッドやソファでポンポンしていた。
そこに、アリーナがやって来てブルーノを隣の部屋に呼んだ。
部屋にはアリーナとヘンリックがいた。
「ブルーノ、これは私とヘンリックからプレゼントだよ。開けてみて。」
「急にどうしたんたにゃ?」
貰った箱を開けるとー。
そこには、金色のブレスレットとブルーのブレスレットが並んで入っていた。

「これは、ペアなんだよ。お互いの色を着けるの。そしてこれは特別製で、猫や人、聖獣の本来の姿に変わってもそれに合わせてサイズが変化するからずっと着けていられるんだよ。」
「こんなにいい物をくれるのかにゃ?」
「あの子とペアで着けるといいわ。」
「そうか、ありがと…にゃ。」
「で、いつ名前付けてあげるの?」
「いつかはまだ…決めてないにゃ。」
「そうねー今日は?」
「今日は皇太子の結婚式だから一緒はダメだにゃ。不敬というやつだにゃ。」
「じゃあ明日は?名前は決めてあるんでしょ?」
「ちゃんと決めてあるにゃ。」
「あの子はとても綺麗な子だから昨日も凄く目立っていたの。ブルーノは気づいていた?使い魔にしたい人とかお嫁さんにしたい聖獣が沢山いると思うの。それに、まだ今はあの子は自由だし。誰かについて行っちゃうかもしれないわ。」
「それは、駄目にゃ。すっごく嫌だにゃ。」
「だったら、明日で決まりね!」
「わかった…にゃ…。」
「ねえ、ブルーノ自信を持って。」
「そうだよ。ブルーノは優しくて、強くて、こんなにかっこいいじゃないか?」
「そうかにゃ…?」
ブルーノはアリーナたちに励まされて明日決行することにした。

アリーナはちょっと強引だったかな?でも、こうでもしないと何時になるかわからないしねと思った。

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祝賀会が始まった。
音楽が流れダンスが始まる。
ブルーノは少し緊張をしていた。
明日、明日、明日、あした…
「ブルーノさんどうしたのかにゃん?元気が
ないにゃん。」
「なんでもないにゃ。大丈夫だにゃ。」
「今日もご馳走ですにゃん。食べないのですかにゃん?」
「食べるにゃ。一緒に行くにゃー。」
「それこそブルーノさんですにゃん。」
ふたりは手を繋いでご馳走のテーブルまで行った。
「今日も美味しいですにゃん。」
「そうだにゃー。」
明日、明日、明日、あした…

アリーナはヘンリックとふたりを見ていた。
「ブルーノ、緊張してるのかしら?」
「そうかもね?僕だって緊張してる。」
「そうなの?」
そこへビルバーグがやって来た。
「ヘンリックー今日はダンスしないのかい?
ヘンリックたちのダンスは素晴らしいからなー。みんなに見せてよ。」
「ありがとうございます。」
「うん、これから踊ろうとしてるとこだよ。」
「どうした。元気ないなー?具合でも悪いのか?医者呼ぶか?」
「兄上、具合は悪くありません。ただ、ちょっと心配で。」
「何が心配なんだ?」
「実は……………………。」
ブルーノの恋、「明日の決行」のを話した。
「そうかーヘンリックにブルーノの緊張が移ってると。」
「その様です。」
「大丈夫だよ。アレって相思相愛なんだろ?それより、ダンス踊ったら?」
「そうですね。」
ヘンリックとアリーナはホールの真ん中までやってきて踊り始める。

ビルバーグはニコニコとふたりを見ていた。
そうか、明日決行か…。よーし、父上に教えちゃおう。そしてアンダーソン公爵へ伝わる。
アンダーソン公爵からホワイティス伯爵へ
ホワイティス伯爵から夫人へ夫人からディビッドへと…………「明日決行」が伝わって行った。

ブルーノとお嬢さんはお菓子を食べていた。
そこに第一王子が黒猫とやって来た。
「やあ、白猫、ここにいたのかい。」
「ここのお菓子は美味しいにゃ。」
「そうかい。それは良かったね。」
「黒猫は食べたのかにゃ?」
「さっき食べました。お腹いっぱいです。」
「そうか、子供は沢山食べないとにゃ。」
「白猫はまだこの国にいるんだろう?」
「そうだにゃ。あと少しいる予定だったにゃ。」
「そう。だったら西にある森に広い花畑があるらしい。今が見頃だそうだよ。一緒に行ってみるといい。」そう言ってブルーノにウィンクをした。
「そ、そうか、なら行ってやってもいいぞ。」とブルーノは少し顔を赤くした。
「明日、私は仕事があってね。一緒に行けないが楽しんでくるといい。」
「ありがとうにゃ。」とブルーノは小さな声で第一王子に言った。
第一王子はニッコリと笑ってブルーノのアタマを撫でた。そして、第一王子は呼ばれて行ってしまった。

それから、「西の森の花畑」のことは黒猫からディビッド、ホワイティス夫人、ホワイティス伯爵、アンダーソン公爵……と「西の森の花畑」が伝わっていった。
「西の森の花畑で明日決行」をみんなが知ることになる。

そして、ブルーノに目線が集中する。ブルーノがそちらへ向くととなぜか目を逸らされる。
なんだろうな??まっいいかーとブルーノは明日の事を考えながらお菓子を黙々と食べた。

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((伝達の流れ))
*(アリーナとヘンリック)「明日決行」→→(ビルバーグ)→(アンダーソン公爵)→"アンダーソン公爵夫人)→(ホワイティス伯爵)→(ホワイティス伯爵夫人)→(ディビッド)→(黒猫)→(第一王子)まで。

*(第一王子)「西の森の花畑」→→(黒猫)→(ディビッド)→(ホワイティス伯爵夫人)→(ホワイティス伯爵)→(アンダーソン公爵)→(アンダーソン公爵夫人)→(ビルバーグ)→(ヘンリックとアリーナ)まで。