次の日、ヘンリックは仕事で王宮へ行った。
屋敷ではアリーナがあの子のためにベッドやクローゼットなどの手配をしていた。
ブルーノは猫に屋敷を案内していた。

客間、応接室、書斎、食堂そして厨房をまわる。
「ずいぶん大きなお屋敷ですにゃん。」
「そうだにゃ。次は庭だにゃ。」
2匹?ふたりは庭に出た。
花壇には花が咲いて木も生えている。
「とてもいいところですにゃん。」
「気に入ったかにゃ?」
「ええとても気に入りましたにゃん。」
「そうか、よかったにゃ。」

木下でひと休みをする。
「今度オレの友達を紹介するにゃ。」
「友達ですかにゃん?」
「そうにゃ。友達にゃ。」
「そうなんですかにゃん。」
そして、ブルーノは友達や黒猫の話をした。
猫はブルーノの話をきいていた。
「ブルーノさんは優しいですにゃん。」
「そんなことはないにゃ。」
「黒猫さんも助けたし、私も助けられましたにゃん。」
「当たり前のことをしただけにゃ。」
褒められたので少し照れていた。
人型だったら顔が赤くなっていただろう。

そして、「ご飯だよー。」とアリーナの声がした。
ブルーノたちは食堂へ行ってご飯を食べた。
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少しして、ブルーノはひとりで王宮に向かった。第一王子のところへ向かう。
抜け道を通って王宮の庭に出た。

少し離れたところで、ヘンリックとお父さんがいた。ヘンリックの手にはあの子に着けられていた首輪があった。
なんの話をしているのかな?
まぁいいかー見つかると面倒だしな。
第一王子の所へ急いだ。

「やぁ、白猫、久しぶりだね?」
「遠くにお出かけしてたからにゃ。」
「あーそうか、ご主人と出かけていたんだね。」
「白猫さん、こんにちは。」黒猫が挨拶をする。
「元気だったかにゃ?」
「はい。元気でした。」
「今日はクッキーがあるよ。食べるかい?」
「もちろん食べるにゃー。」
「さあ、お食べ。」

食べ終わるとブルーノはグリード国の港でのことを第一王子に話をした。
その時の聖獣を連れて来たことも話した。
「捨てられた聖獣か。それは可哀想だったね。」
「アリーナがうちの子にするっていうから連れてきたにゃ。今度、紹介してもいいかにゃ?」
「ぜひ連れて来てくれ。私もその聖獣に会ってみたいな。」
「とても綺麗な猫にゃ。人型になってもとても綺麗なんだにゃ。」
「ふ〜ん。それは楽しみだ。」
「連れて来たらご馳走をだしてにゃ。」
「もちろんだよ。歓迎するよ。」
第一王子はにこにこしてブルーノの頭を撫でた。

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ブルーノは帰ると猫を探した。
その時に、あれ?あの子は名前が無かったな
呼ぶときはなんて言えばいいんだ?
オレが勝手に付けるわけにはいかないよなー
だってオレが付けたらそれは……。

猫はアリーナと部屋にいた。
ベッドやクローゼットやソファが備え付けられていた。
そして、洋服や靴を見ていた。
「アリーナ、ずいぶん楽しそうだにゃ。」
「うふふっ。私には女の子の兄弟いないから
こうやってお世話するのが夢だったんだー。」
「そうかにゃ。よかったにゃ。」
「ふふっ。」
「私も嬉しいにゃん。」
「それはよかったにゃ。」
アリーナも猫も嬉しいなら良いことだと思った。

夕方になってヘンリックが帰って来た。
「お帰りなさい。」
「お帰りなさいにゃん。」
「おかえりーにゃ。」
みんなでお出迎えをする。
さて、そろそろご飯の時間だ。

みんなでご飯を食べる。
ヘンリックが
「今日王宮でお義父さんにあったよ。」
「へぇーこっちに来ていたの?」
「そうみたいだよ。明日あたりここに来るかもね。」
「ふーん。」
「連れて来た子に会いたいらしいよ。」
「どうしてにゃ?まさか連れて行くなんてしないよにゃ?」
「それはしないよ。ブルーノがドゴール山でその子が生まれたって言ってたから伝えたんだ。だから会いたいんじゃないかな?そこはお義父さんの領地でしよ?」
「そうだったにゃ。それならいいにゃ。」
「へぇー。」アリーナはブルーノを見ていた。

今夜はブルーノと猫はそれぞれのお部屋で休んだ。
ブルーノは眠れなかった。
名前なーやっぱり無いと呼べないよなー
すると、ブルーノの部屋に猫が来た。

「どうしたにゃ?眠れないのかにゃ?」
「ひとりでは寂しいですにゃん。今日もここにおいて欲しいですにゃん。」
「そうかー寂しいのかにゃ。じゃあここで寝ていいにゃ。」
「ブルーノさんは?」
「大丈夫にゃ。こっちのソファがあるにゃ。」
「ごめんなさいにゃん。」
「いいんだにゃ。」
そして今日もブルーノの部屋で眠った。