卒業式から1年後
今日はアリーナとヘンリックの結婚式。
空は晴れ渡りとてもいい天気だ。
あの、教会で行われる。

控え室ではアリーナが準備をしていた。
ウェディングドレスを着て化粧を施され
髪も結いあげられた。
そして白いレースのベールをかぶった。
ここで、時間になるのを待つ。

そこに両親、弟、ブルーノがやって来た。
正装の父はもう号泣だった。鼻水まで垂れていた。父以外みんな苦笑いをしている。
「あなた、アリーナのエスコートできますか?しゃんとして下さい。」母が父に言いながら涙をハンカチで拭ってあげている。
「うぇっううっ…ぐっ…うわぁん」返事も出来ない父。
「お父様、いい加減に泣き止んで下さい。エスコートを誰か別の人にしますよ。」
「それは…ヒック…やだ…私がする。」
「それじゃ、泣かないで下さいね。」
「うん……グズッ」

アリーナが
「ディビッドもブルーノもとてもかっこいいわね。」
「ありがとうございます。姉上もとても綺麗です。」
「そうだろう?オレかっこいいだろ?今日のアリーナはとても綺麗だにゃ。ヘンリックのヤツ、びっくりするんじゃないかにゃ。」
「そうかな。」アリーナは顔が赤くなった。

「ねぇ、ブルーノも姉上と一緒にいっちゃうんでしょ?僕ちょっと寂しいな。」
「そうかー?どうせすぐに会えると思うにゃ。首都にいるんだしにゃ。」
「そうだけどさー。」少し寂しそうに言った。

「そろそろお時間です。」そう声がかけられた。
父はビクッとした。
「あなた、頑張って。」妻にそう言われてうなずいた。
そして、父はアリーナをエスコートして向かう。
「お父様、今まで育ててくれて、そして愛情を注いでくれてありがとうございます。」そうアリーナに言われて父は
「うんうん」と頷くことしかできなかった。
やがて式場の扉の前まで来た。
アリーナと父はそこで深呼吸をして背筋をのばす。

扉が開いた。
赤い絨毯の先にヘンリックが立つ。
ヘンリックは目を大きく見開き手を口元にもっていった。なんて綺麗なんだ。
アリーナはヘンリックの正装姿を見て眩しいと思った。なんてかっこいいの。
ヘンリックに向かってふたりは歩いて行く。
一歩一歩ゆっくりと。
「アリーナ、君が私達のところへ来てくれて育てさせてくれてありがとう。幸せになってくれ。」そう父は言った。
「はい。」
ヘンリックのところへたどり着き
「ヘンリック君、アリーナをよろしくお願いします。」そう言ってアリーナの手をヘンリックに渡した。
ヘンリックは「はい。絶対に幸せにします。」そう言ってアリーナの手を取った。

アリーナとヘンリックは祭壇へと向かう。
それを父は泣きながら見ていた。

祭壇にはあの神官長が立っていた。
にっこりと微笑んで中央へふたりを促す。
「さあ、こちらへ。」
そして式が始まる。
「汝、ヘンリック・ブルーライトは病める時も健やかなるときもアリーナ・ホワイティスを生涯の伴侶とし愛することを誓いますか?」
「はい、誓います。」
「汝アリーナ・ホワイティスは病める時も健やかなる時もヘンリック・ブルーライトを生涯の伴侶とし、愛することをちかいますか?」
「はい、誓います。」

「それでは指輪の交換です。」
アリーナは緊張で少し手が震えていた。
それでもなんとか指輪の交換ができた。
「それでは、誓いのキスをお願いします。」
ヘンリックはアリーナのベールをあげてとてもいい顔で微笑んだ。
「とても綺麗だ。」そう言ってアリーナの唇にキスをした。
アリーナは嬉しくて涙をポロッと落とした。
「これで神に誓いは届けられました。どうぞお幸せに。みなさん祝福を。」

ふたりは手を繋ぎ教会の絨毯を歩き出す。ふたりの両親、兄弟、ブルーノそして、招待客にブリーズ国のクラーク、アレン王子、リリー、マークなど、顔見知り達の笑顔があった。みんなの祝福の中を歩く。
教会の外に出てもたくさんの人がふたりを祝福していた。
ヘンリックは手を空にむけて魔力を使った。
空に虹が出て花や花びらが降ってきた。
そして小さな光もたくさん降ってきた。
それを見た人たちは一斉に歓声を上げた。
「どう、綺麗でしょ。アリーナには負けちゃうけど。」
「ううん。とても綺麗ね。ありがとう。」

ヘンリックはアリーナを抱き上げ
「しあわせになろうね。」
「うん、しあわせになろうね。」

ふたりは微笑み会ってキスをした。

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結婚式の後

泣き止まない夫に妻は優しく涙を拭いてあげていた。

ディビッドとブルーノはそれを苦笑いして見ていた。

公爵は
「マーチスが泣いてる。あのマーチスが……。鼻水まで垂らして…」その時は我慢をした。
が、あとになって思い出して大笑いをしていた。

ビルバーグは
「さすがオレの弟。すごいだろう?かっこいいだろう?」とみんなに自慢していた。

公爵夫人は
夫と長男はどうしてこうなったのかしら?と首を傾げていた。

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登場人物
アリーナ…この章の主人公、ヘンリックの妻
ブルーライト伯爵夫人

ヘンリック…アリーナの夫、外交官、ブルーライト伯爵、強い魔力の持ち主

ブルーノ…アリーナの使い魔、聖獣、第一王子の友達、食いしん坊

ホワイティス伯爵…アリーナの父、グラン国の役人?けっこう泣き虫

ホワイティス伯爵夫人…アリーナの母

ディビッド…アリーナの弟

アンダーソン公爵…ヘンリックの父、グラン国魔法騎士団長、笑い上戸

アンダーソン公爵夫人…ヘンリックの母

ビルバーグ…ヘンリックの兄、グラン国魔法騎士団第一部隊隊員、極度のブラコン

クラーク…ブリーズ国王宮専属魔法師団長、ヘンリックの魔法の先生

アレン王子…ブリーズ国第一王子

神官長…首都の教会の神官長

リリー…アリーナの友達、マークの妻

マーク…アリーナの学生時代の同級生、リリーの夫