今日はアリーナの卒業式。
両親やヘンリック、なぜかブルーノも来ている。
第一王子は卒業生代表として挨拶をした。
ブルーノは
「立派なアイツはオレの友達だにゃ。アイツの卒業式に来れて嬉しいにゃ。」と小さな声でヘンリックに言った。
「そうなんだね。素晴らしい友達だね。」そう笑って言った。
実はブルーノは第一王子に招待されていた。
卒業式が終わればパーティーが開かれる。
ブルーノにはそっちの方がメインだった。

卒業生は式が終わると各々着替えてパーティーに望む。
アリーナもドレスに着替えておめかしをする。
今回もヘンリックがアリーナにドレスを贈った。
「アリーナ。卒業おめでとう。よく似合ってるよ。綺麗だね。」
「ありがとう。ヘンリックも素敵よ。」少し赤くなってアリーナは答える。
両親もふたりを見ていたが、父の目には涙が溢れていた。母は父の背中を摩っている。
ブルーノはこれどっかで見たな?と思った。

第一王子の挨拶でパーティーが始まった。
音楽が流れダンスが始まる。
卒業生は婚約者がいれば一緒にダンスをする。
アリーナとヘンリックはもちろんあの秘策を使って踊る。
くるくるまわりそれはそれは楽しそうに。

その隙にブルーノはご馳走が並べてあるテーブルへ向かった。それを両親が慌てて追いかけて行く。
そんなブルーノに第一王子が声をかけた。
「やぁ、白猫。こっちにはお肉があるよ。」
「えっ肉?どこ?」
「こっちだよ。」と手招きをする。
「うわぁーすごい。よし、たくさん食べるにゃ。」
両親はそれを見て少し離れた。

第一王子は離れたところにいる父に声を掛けた。
「ホワイティス卿、来ていたのか?」
「これはこれは第一王子。うちのブルーノまで招待していただきありがとうございます。」
「私と白猫は友達だからな。」と笑った。
「そうにゃ。友達だもんにゃー。」とブルーノ。
「恐縮です。」そう父は言った。
「白猫にはいろいろと世話になってる。これからも遊びに来てほしいと思ってるんだよ。」
「まぁブルーノも役にたててよかったです。」
「白猫が連れて来てくれた聖獣がとても懐いてくれてね嬉しく思ってるんだ。」
「あーあの時のですね?」
「そう。あの聖獣に白猫はいろいろと教えてくれて、今は少し魔力を使えるようになったんだ。」
「使い魔にはされないのですか?」
「まだ子供だからしていないよ。そういうことは本人の意思も確認しないといけないだろう?」
「そうですね。それは大事なことです。第一王子のような方に世話になってその聖獣は幸せですね。」
「私もそう思って貰えるようにしたいものだな。」
そこに、
「なぁ、今度はお菓子が食べたいにゃ。どこにあるのかにゃ?」とブルーノは話に割り込んだ。
「お菓子はあっちの方にあるよ。一緒に行こうか?」と第一王子はブルーノに優しい。
「よし、行くにゃ。」
「では、卿もゆっくりしていくといい。」
第一王子はブルーノとお菓子を目指してあっちの方に行った。
両親は顔を見合わせてぽかんとしてしまった。
「あなた、アレいいんですか?」
「まぁ、アレでいいんだろうなぁ。アリーナには叱られるだろうけど。」
「そうですねぇ。」

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ところでマークとリリーはどうなったかって?

マークはあの後、リリーにきちんと告白をした。そしてリリーはやっぱりマークが好きだったので許すことにした。
王宮の舞踏会でマークがリリーをエスコートして、ダンスを踊った。
アリーナがダンスの時に見たふたりは嬉しそうに踊っていた。

舞踏会の翌日にマークはリリーにあらためて結婚の申し込みをした。リリーはそれに「はい。」と答えた。
結婚式はマークの領地で行い次期は卒業して半年後にする。
それまではリリーはマークの領地で花嫁修行と結婚式の準備をすることになっている。
ちなみに、マークの領地はリリーの家の領地の隣にある。
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ヘンリックとアリーナは卒業後結婚をする事になっている。
こちらは、1年後。
アリーナの父が駄々を捏ねたので予定よりも遅くなった。
それまで、アリーナは今いる首都のタウンハウスで結婚式の準備をする。

ヘンリックは次男のため、本来は跡取りではないので公爵を継ぐことは無い。
しかし、功績が認められ伯爵の爵位を国王から叙爵されてブルーライト伯爵となり正式に外交官となった。
勤務先が王宮のため首都に新しい屋敷を構えることになっていた。準備はヘンリックが早くからしていたのでもう屋敷は出来上がっている。
結婚と同時にブルーノもその屋敷に移る。

結婚式は首都の教会で行われる。
そう、あの教会だ。