ヘンリックはアリーナから手紙をもらい学校が終わるころ迎えに来た。あの石が呪われた石だと聞いて、もしアリーナの身に何かあったら…そう思うといてもたってもいれなかった。
「アリーナ!!無事でよかった。」
「私は無事だけど?」
「心配で迎えに来たんだ。」
「心配はないわ。とりあえず家に行きましょ。」
「そうだね。」
2人はアリーナの家に向かった。
家に着くと家令に挨拶をしアリーナの部屋へ行く。ドアを開けてみると何も変わりはなかった。

箱から石を取り出すと赤い石と黄色い石が話し始める。「こんにちは。」「ごきげんよう。」と挨拶をされてヘンリックは少し驚いた。
ベッドで寝ていたブルーノは起き上がり「アリーナ、ヘンリックこれは呪いをかけられて石にされた人間だったにゃ。悪者かどうかもわからにゃいが魔力をこれ以上分けてあげなければ喋るだけだにゃ。それに、この呪いを解くのは少し手間がかかりそうなんだにゃ。」
「僕たち悪さはしないよ。」「しないわ。」と石は言う。
「本当に危なくないんだね?」ブルーノに聞く。ヘンリックは自分が送った物で迷惑かけてしまったことを申し訳なく思った。
「何だか妙に目に付いて買ってしまったんだよ。ごめんね。」 「ううん。大丈夫。私も気づかなかったし。」
「それなんだけど。石がヘンリックに残ってる僅かな魔力を送ったらしいにゃ。助けてくれってにゃ。」 「どういう事?」
「呪いを解いてもらえそうだと思ったんにゃと。」
「僕、魔力は少ないけど…。」
「そこなんにゃよ。魔力だけならオレの方がずっと上にゃ。」
「魔力は関係ないのかな?」
「そうかもしれないにゃ。それと他の石にも魔力を与えて話をしたけど皆んな記憶が曖昧でどうしてこうなったかはわからなかったにゃ。」
「そうなんだね。ごめんね。こんな時なんだけど、明日からまた出張でしばらく来れないんだ。その間、心配だな。」
「大丈夫よ。いつも通りに待ってるわ。危険でもなさそうだし。それに私にはブルーノがいるわ。そんなことよりヘンリックは気をつけて行って来てね。」
「わかった。気をつけるよ。ブルーノよろしく頼むよ。」
「まかせろにゃ。」

ヘンリックはアリーナにプレゼントをした石が呪いを受けたものであったことをアリーナの両親に詫びた。
両親はアリーナに害が及ばない事を知り安心した。そしてしばらく石を預けておく事も了承してもらった。
そして夕方、ヘンリックは帰って行った。

明日からヘンリックはブリーズ国へ出張だ。
またアリーナとしばらく会えなくなるな。
外交官の仕事はは結婚したら伴侶を伴っての行事が多いい。出張は同伴だ。
結婚したらずっと一緒にいられるのに。
早くアリーナと結婚したいな。

ブリーズ国は魔法が盛んに使われていている魔法大国だ。優秀な魔法師がいるという。ヘンリックは石について調べてみることにした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

その後、アリーナは学園に通い日常を過ごしていた。
デビュタントまであと2ヶ月。
それまでにはエンリックも帰ってくる。


最近、マリンが男子を侍らせ近よってに来るようになった。アリーナと仲良くなって友達になりたいという。だが、マリーナは嫌だった。
友達になるのを断れば、「マリンが友達になりたいって言ってるのになぜアリーナは友達になってあげないんだ。」そう男子達に激しく詰め寄られた。何度も断ってもそのたびに男子に責められとても怖かった。

アリーナ以外にも友達になってと言われている女子も数人いるようだ。
その女子たちは婚約者がマリンに取られてしまい悲しんでいる様子を見て気の毒だと思っていた。それに、日頃のマリンは女子には傲慢に振る舞っていてとてもじゃないが仲良くしようなんて思えなかった。
当然、マリンと友達になる女子はいなかった。

最近は婚約者同士の喧嘩も目にするようになった。
「マークひどいわ。昨日のお茶会一緒に行くって約束してたのに。」
「お茶会ぐらいどうだっていいだろう。僕は忙しかったんだから。」
「嘘よ。本当はマリンとデートしていたって知ってるのよ。」
「だからどうしたって言うんだよ。お前とお茶会なんか行くよりマリンといた方が僕は幸せなんだ。」
「うわ〜ん。ひどいわ〜」とこんな感じ。

男子達はマリンに恋慕というより陶酔しているようだ。
そんな事が増え、だんだんと女子と男子の間には壁ができてしまった。

そんな中、マリンに関わらないようにしている一部の男子がいた。
マリンがどんなに擦り寄っても目も向けず話しかけても無視をする。完全に嫌ってるようだ。
その男子の婚約者に虐められたと訴えても「貴様の言うようなことはとても信じがたい。我が婚約者がその様な事をするとは到底考えられない。」と言われて振り払われた。
マリンは歯ぎしりするほど悔しがっていたようだ。
その男子達はこの国の第一王子や側近、高位貴族の令息であった。