今日は王宮の舞踏会。
アリーナのデビュタントの日だ。
アリーナは侍女に手伝ってもらい身支度をする。侍女たちは気合を入れて朝からお風呂、髪や肌のお手入れ、全身のマッサージと時間をかけてアリーナを磨いている。

その頃、ブルーノもお風呂に入れられて身体中を洗われた。
「いつも言ってるにゃー!濡れるのはやだにゃーっ!!離してにゃー!!」
「ダメだよブルーノ。お風呂は入らなきゃ。
綺麗にしないと。せっかくかっこいい衣装を着るんだからね。ちょっとだけ我慢だよ。」
「ヴヴッ…」少し涙目になっている。
お父さんに言われてブルーノは我慢をした。
お風呂の外でディビットが「クククッ」と笑っていた。

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そして、夕方になった。
アリーナはヘンリックから贈られたドレスを着て化粧を施され、オレンジの髪は豪華に結い上げられた。
ドレスはデビュタントらしく白で胸元にはレースがあしがわられていてスカート部分は金糸の刺繍が上品に施され大きく膨らんでいた。

そこに、ヘンリックがやって来た。
ドアをノックして「支度は出来たかい?」そう言って部屋のドアを開けた。
「あっ……。」
「あっ……。」
2人は言葉も無く顔を赤らめていた。
「あらあら、2人ともお似合いだわ。」そうアリーナの母が言った。
ヘンリックは気を取り直して
「綺麗な君にこれを。」そう言って青い宝石が入ったネックレスとイヤリングを渡した。
「まぁなんて綺麗なんでしょ。」横から母がそれを見た。
「せっかくだからヘンリック君、それをアリーナに着けてあげて。」
ヘンリックは黙って頷いた。
少し手が震えたがアリーナに着けてあげた。
2人とも益々顔が赤くなった。
「ヘンリック、ありがとう。」
「どういたしまして。こんなに綺麗なアリーナをエスコートできるなんで僕は幸せだ。」
「私も幸せよ。ヘンリックだってすごくかっこいいもの。」
2人は顔を見合わせて微笑みあった。

後から来た父はちょっと涙ぐんでいた。
「グスッ…。」
「あらあら、あなた。お嫁に行くわけでもないのに。しょうがない人ね。」
そう言いながら背中に手を当てて撫でた。

そこにディビットとブルーノがやって来た。
2人はお揃いではない衣装を身につけていた。
髪もセットしてどこから見ても貴公子のような出立だった。

「ディビットもブルーノもかっこいいね。」
「そう?ありがとう。」
「どうだ、オレかっこいいだろう?」ふふんとブルーノは胸を張った。
「さっきね、ブルーノはお風呂で大騒ぎだったんだよ。」とディビットが小さい声でヘンリックに言った。
「ふふっそうだよね。濡れるの嫌いだもんね。」とヘンリックは笑った。

「それでは、お前たちは先に行ってなさい。」父はそう言って馬車まで見送った。
「先に行ってるねー。」
「お先に失礼します。」
2人は馬車に乗り王宮に向かった。

残された家族も身支度の仕上げをして出かけた。

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先に出かけたアリーナとヘンリックは手を繋いでお互い顔を見ながら微笑んでいた。
「そういえばー私ディビットとブルーノとダンスの練習はしたけど上手く出来ないわ。どうしよう。」
「ブルーノも練習したの?気合い入ってるねー。アリーナは大丈夫だよ。僕には秘策があるからね。」
「そう?」
「僕に任せて。」

どんな秘策かな?


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後から出た馬車では
「ディビット、ブルーノ、お行儀よくしてね。」
「そうだぞ。上品にな。」
「ご馳走ある?」ブルーノは目が輝いた。
「沢山あるが食べ過ぎちゃダメだぞ。」
「わかったにゃ。」
「誰かついてないと心配だわ。」
「僕がついてるよ。」
「んー心配が2倍かー。アンダーソン公爵のとこのビルバーグ君にでも頼むしかないかな?」
「ビルバーグ君ね。それもすこーし心配だわ。」
「なんとかなるよ。僕に任せて。」とディビットが言った。

さて?どうなるかな?