「____シノ」卯の花色。
下駄箱に着くと、廊下の右側から来た桜庭君と目が合った。
「お、おはよう、ございます」
私が言うと、少しうれしそうに笑う。
ほわ、とはちみつ色がにじんだ。
____やさしい色。
「珍しいね、シノから話しかけてくるの」言いながら、私の横を歩く。
「そうですか?」
「嬉しいから、いいけど」
そう言われると、ちょっと恥ずかしい。
でも、言われてみれば、私からあいさつしたのは初めてかも。
「朝練、ですか」
「うん。さっき終わったとこ」
「大変ですね」
彼の肩にかかった大きい袋。
ユニフォームとか、靴とか、入ってるんだろうな。