「____どうだったっ!?」

教室の扉を開けるなり、
麻ちゃんがバタバタとこっちに近づいてきた。




「あー、わかんねぇけど。サクが言ってたことは伝えた」


「そっかぁー‥‥‥‥」おれが言うと、麻ちゃんは椅子の上にぐでっとなる。



そんなに心配なら、行けばよかったのに。

あの状況なら、逆効果だったろうなと思いつつ、その辺の椅子を拝借して、彼女の隣に腰かけた。




教室に誰か入ってくるたび、忙しそうにそわそわしているのを横目で見る。


____「やばい」ときの表情だ、これは。
なんとなく、そのくらいは分かるようになった。

その反応だけで、東雲サンにも十分伝わるんじゃないかと思うけど。



「‥‥‥‥ダメなんだろうなぁ、たぶん」

おれがそう口にしたとほぼ同時に、サクが教室の入り口から顔を出した。





「おう、おかえり」


「おかえりー」


「ただいま。シノは?」


「まだ」一応伝えてはおいたけど、と付け加えておく。



俺が行けたらよかったんだけど、なんて、落ち込んでいる。

バカだな。



「いちいちお人好しなんだよ、サクは」


「んー‥‥‥‥」けど、なんか気になっちゃって。と困った表情(かお)をする。