「東雲サンに、1つ頼みがあんだけど」
「‥‥‥‥なん、でしょうか」
「これから毎日、宿題みせてくんない?」
「なんでですか?」
「おれ、よく忘れるからさ」
「‥‥‥‥」なんで急に。
「麻ちゃんもだけどな。おれらと一緒に居るってことは、そういうことになるけど」
「____友達の条件、ってやつ?」
あ、そうか。
そういうことか。
「毎日は、だめです」
「3日に1回くらいなら、‥‥‥‥見せても、いいです」
「____んじゃ、交渉成立だな」
そう聞こえたかと思うと、
本棚の影から泉君がひょこっと顔を出した。
「____なんだ、元気そうじゃん」
「‥‥‥‥っ」
見られると思ってなかった。
たぶん今、目元腫れてるだろうな。
涙、ちゃんと拭いとくんだった、と後悔する。
「みんな心配してっから、戻ってこいよ」
それだけ言うと、
足音が遠ざかって、扉が閉まる音がする。
____なんだかすごく、安心した。