「なぁ」




____あ。



萌黄色(もえぎいろ)

桜庭君、じゃない。







「サクなら来ねぇよ」


「‥‥‥‥!!」



そうなんだ。

いつも、困ったときに来てくれるのに。



やっぱり、違ったのかな。

裏切られた気分だ。







「部活の先輩に捕まって話してるから」


「図書室にいると思うって言われて来たけど、マジでいるとは‥‥‥‥」



表情は見えないけど。呆れられてるのかな。





「大丈夫だよ。おれも、麻ちゃんも、東雲サンのこと、変に思ったりしてないから」


「‥‥‥‥え?」





「それが心配なんだろ、サクは」

いつも気にしてるよ、と付け加える。



「なんであいつ、東雲サンがここいるってわかったんだろうな」




「わかんねーなー」と、ひとりで話続けている。










しばらく、沈黙が降りた。


不思議と、嫌な感じはしなかった。