そういえば、と卯の花色がにじむ。



「シノって、うどん好きなの?」


「‥‥‥?どうしてですか?」


「なんかよく、うどん食べてるの見かけるから」


「あったかいので‥‥‥‥」



____言えない。
お金がピンチの時に食べているだなんて‥‥‥‥。

だって、250円という価格であの量なのだ。





「キツネ派?タヌキ派?」


「かき揚げが好きなんですけど、どっちに入るんでしょう」


「選択肢にないじゃん」


笑われてしまった。
今日も桜庭君は、なんだか楽しそうだ。





「‥‥‥‥どちらかといえば、キツネです」


「じゃ、キツネうどんにしようかなー」


「桜庭君、今日はお弁当じゃないんですか‥‥‥‥?」


「うん。今日は朝早かったから。婆ちゃんにも悪いし」



お婆ちゃんの家に住んでるって、前に言ってたっけ。

家族想いなんだな‥‥‥。








「____席、とっとくね!!」


食堂に着くと、麻美さんと泉君が場所取りをしてくれた。
その間に、桜庭君と食券の列に並ぶ。

桜庭君は「人すごいね」と言っているけど、
今日は少ないほうだと思う。