「あー!!!!!!」


「うるせーな、なんだよ‥‥‥‥」麻美さんの声に、泉君が呆れたように答える。




麻美さんの明るすぎる色に、
思わずヘッドフォンををぎゅっと押しつける。

突然明るい場所に出たときみたいに、目の前がチカチカする。




「数学の宿題忘れてた‥‥‥‥!!」


「あ、やべ。おれもだ」


言いながら、がさごそと鞄をを弄り始める2人。




「シノ、宿題やった?」


「最後の問題だけ、難しかったです‥‥‥‥」


「しののめさん、宿題やったの!?」桜庭君の問いに答えると、すかさず麻美さんが声を掛けてくる。



神様!!とでも言いたそうな目だ。

いつのまにか、泉君もこっちを見ている。





「「見せて!!!!」」




えっと‥‥‥‥。

ちら、と桜庭君を見ると、「いいんじゃない?」と背中を押してくれる。



「合ってないかもしれませんが‥‥‥‥」










ガラッ____と音がして、担任の先生が教室に入ってくる。





「ヤベー!!!」言いながら、すごい速さで宿題を写していく泉君。

「東雲サン、まじサンキュー!!!」そう言ったかと思うと、もう自分の席に座っていた。


嵐みたいな人だな、と思った。



「しののめさん、ありがとう!!助かったよー!!」麻美さんが黄色い笑顔で、私のノートを返してくれた。





____なんか、不思議な朝だったな、なんて。

夢見心地な気分で授業を受ける。


クラスの人とまともに話したの、いつ以来だろ。





「‥‥‥‥」


やっぱり、ちょっと嬉しい。

口元が緩んでいるのが自分でも分かった。