淡色の君と、透明なセカイ

「だから、大丈夫じゃない?」


「ふふぁー?」なにが、と言いたげに(多分言いながら)、麻美さんが首を(かし)げている。


「サクが手伝ってたんだろ」


「うん、まあ」


「お前、いつの間にお嬢と仲良くなったん?」


「え、いつだっけ?」


「えっ‥‥‥‥!?」桜庭君、いきなりそこで振らないでください。


「えっと、多分、1ヶ月前、くらい‥‥‥‥‥‥?です」




「んんーー!!?」


「お前は飲んでからしゃべれ」


「え、うそ、ほんと?」




頭の中で思い返してみるけど、
桜庭君とバスに乗ったのは、今月の始め辺りだった。


「正しくは、3週間と2日ですかね‥‥‥‥?」




私が言うと、しん、と静まり返ってしまった。



どうしよう、変なこと言っちゃったかな‥‥‥。

そう思ったところで、突然麻美さんが笑い始めた。




「しののめさん、面白いねっっ‥‥‥‥!!
あー、お腹いたぁ‥‥‥‥」


いつの間にか、彼女の前にあった大盛りのお弁当が空になっていることに気づく。

速いな、食べるの。




「俺が話しかけたんだよ」桜庭君が助け船を出してくれる。


「シノが学級文庫の整理してて、声かけたんだよね」


「はい」


「ほえ、そうなんだー。‥‥‥‥ってか、図書委員てしののめさんだったんだ!?」


「お前、今さらかよ」と、泉君が肘鉄をお見舞いしている。
 

「だってほら、あんま目立たないじゃん?図書委員って‥‥‥‥」


「こら!!」



デリカシーのないこと言わない!と泉くんにデコピンされている。

仲いいなぁ。