「あっ!!いずみんおはようっ!!」

振り向きざまにハイタッチする麻美さん。さすが。




「なに、珍しいメンバーじゃん?」
言いながら、麻美さんの席に荷物を置いて座ってしまう。


「そこ、あたしの机なんだけどー!!」

そう言っているけど、色はオレンジのまま。
怒ってはいないみたい。

友達のノリってやつかな。




なんだか急に騒がしくなってきた。

色がたくさん浮かんでくる。




「____シノ、大丈夫?」桜庭君が、私にだけ聞こえるように心配してくれる。

私がうなづくと、ほっとしたような表情(かお)になった。


『ありがとうございます』と、開いていたノートの端に書いておく。





「麻ちゃんとお嬢(・・)の組み合わせなんて珍しいじゃん?」
どうしたの、と聞いているけど、目線は麻美さんの方を向いている。


「昨日の日直、黒板掃除任せきりにしちゃったから‥‥‥‥」という彼女の返答で、「お嬢(・・)」が私のことなのだと気づく。



なんでお嬢‥‥‥‥?








「____そういや、昨日さ!!」

思い出したように泉君が立ち上がる。
反動で机が揺れた。


「2人で一緒にいなかった?」


「‥‥‥」


「‥‥‥」


2人で、とは、私のことだろうか。




「え、なんの話?‥‥‥‥てか、お弁当食べていい?」言いながら、隣で麻美さんがお弁当箱を広げ始める。


「昨日の放課後、お嬢とサクが一緒にいたような気がして」


「____まあ、いたけど」



桜庭君の答えに、私も(うなづ)く。

別に隠すような関係性でもない。
色の話を抜きにすれば。