「なんだ、桜庭君にも聞いてたんですね‥‥‥‥‥」変に緊張しちゃって‥‥‥‥‥‥すみません、と顔を隠す。
「桜庭君にも悪いですし、なにもないとは言ったんですけどね‥‥‥‥‥‥」と顔をぱたぱたする。
変な意味ではなく、俺のことをちゃんと考えてくれてたんだなぁ、と思う。
少しだけ嬉しい。
「な、なんですか‥‥‥‥‥‥?」
「ん、別に」
あわあわしているのをもう少しだけ見ていたかったけど。
気を使ってもらったのに、変に勘違いさせてしまっても申し訳ないから、なにも言わないでおく。
麻ちゃんにも「思わせぶり」って言われたし‥‥‥‥‥‥。
気を付けないと。
「ただいま!!」
シノの声だけだった耳元に、麻ちゃんの元気な声が割り込んでくる。
「もー!!めっちゃ混んでたぁ!!」ずいぶん進んでるね!!とチュロスを渡してくる。
気がついたら、いつの間にか建物の中に入っていた。
さっきから少し薄暗いなと思っていたけど、気のせいじゃなかったらしい。
それでも、まだ列が続いているところを見ると、先は長そうだ。



