「しののめさんっ‥‥‥‥!!」


____朝。

教室に入ると、オレンジ色が視界に浮かぶ。





「はっはわ‥‥‥!!」

声が大きくて、目の前がチカチカする。


桜庭君以外に声を掛けられたことに驚いて固まっていると、
「昨日はありがとうっ!!」と私に向かってくる麻美さんと目が合った。




「あ、あの‥‥‥」


「昨日の日直!!黒板そうじ!!」


「あ、はい‥‥‥‥」




ありがとう、なんて言われたのが久々で、照れくさくて(うつむ)いてしまう。

しかもこんな、お日さまみたいな子。



「次はあたしも、ちゃんとするからっ!!」
部活のリーダーが回ってこなきゃね!!と付け加える。



「は‥‥‥‥」

話しかけられたうれしさと緊張と困惑で、
首を上下に動かすことしかできない。






「しののめさん、大丈夫?なんか変な動きしてるけど‥‥‥」

カチコチになった私の顔を覗きこんでくる。



「あ、なんかちょっと、ビックリして‥‥‥」







「____シノ、おはよ」




「ひゃぁっっ!!」突然肩に手を置かれて、飛び上がってしまう。

声のした方を見ると、
「何回も呼んだのに」と驚いた表情(かお)の桜庭君と目が合った。




「‥‥‥どしたの?」


「なんかしののめさん、ビックリ装置みたいになっちゃって‥‥‥」


「‥‥‥?」


「さっきから、赤くなったり青くなったりしててさ」2人で不思議そうに私を見つめてくる。 
  


う‥‥‥‥‥‥。

そんなに見つめられたら、恥ずかしいんですが‥‥‥‥‥‥。



「麻ちゃん、見すぎだって」


「え、あ、ごめん。なんか面白くて」