「いーじゃん、美味しいし!!」
「皆で食べるんだって‥‥‥‥」呆れた表情を向けてくる。
「____ま、おれの財布は痛まねーから」とドヤ顔をかましてくる。
他人のお金だからって‥‥‥‥!!
むかつく‥‥‥‥。
これでもちゃんとバイトしたお金だし!!と睨み付ける。
「なに、怒った?」
「怒った」
そう言ったのに、なぜか楽しそうに口元が緩んでいる。
「‥‥‥‥なに?」
「いや、何も?」
「楽しんでるでしょ」
「別に?」
絶対嘘だ‥‥‥‥。
「つか、苺ミルク味食いてぇから、このあと買いにいこーぜ」他人の気も知らないでそんなことを言ってくる。
「いーけど‥‥‥」
「‥‥‥なに」
「そんなことしてるから、彼女できないんでしょ」
🔸
「‥‥‥いいよ別に」
「諦めてんの?」
「彼女とか彼氏とか、‘‘つくる‘‘もんじゃないと思って」
「なにそれ」どういうこと。
「__なぁ、苺ミルク味と蜂蜜味どっちが好き?」
「なに、急に‥‥‥」話逸らさないで。
「もうすぐ順番だし、食べたい方多めに買っとかないと無くなるじゃん」
「蜂蜜‥‥‥」
「んじゃ、2箱だな」
「そんな買うの?」
「2箱で、さっきのポット1つ分の量みたいだし」
お前に持たせるとすぐ無くなるから、とポップコーンと一緒に箱を入れるポーチを買っていた。
2つ入れられて、箱で買えば半分だけ違う味にできるみたい。画期的だ‥‥‥‥。
「割りと優しいお値段してんのなー」なんて言っている。
彼としては、帰りに邪魔にならないように折り畳めそうなのがいいとかなんとか。
店員さんが、金色のポップコーンの海にシャベルを突っ込むのを見る。
🔸
「____で、どういうこと?"つくる"じゃないって」ざらざら、と粒が落ちていく。
「あー‥‥‥‥」耳の後ろを掻いて、口ごもる。
「おれは、ただ一緒にいたいだけだからさ」いつも通りが1番だよ、なんて言う。
「なにそれ」変なの。
「だから、わざわざ"つくる"とか思わないって話」
「なに、好きな人いるわけ?」
あたしが言った時には、
店員さんから山盛りになったポップコーンの箱が入ったポーチを受け取っていた。
「なに?ごめん」
「や、なんでもない」
いずみんは彼女より、自分のかわいい妹弟たちなんだろうな、なんて思う。
「つか、食わねーの?それ」ぱくぱくとポップコーンを口に入れながら言う。
あたしが食べるからとか言っておいて、結構食べてるの自分で気づかないかな‥‥‥‥。
「あ____」
言われて、片手にチキンを持ったままだったことを思い出した。
「た、食べるよ!!」
「どーぞ」なんでそんな気合い入れてんの、と呑気に返ってくる。
少し固かったけど、口の中に甘辛い味が広がっていく。
スパイスが効いてて美味しい。



