____ガタン、と揺れて。
目を覚ます。
いつの間に、私まで寝ちゃったみたい。
____ピンポン。
桜色が映る。
バスのモニターを見ると、そろそろ氷町に着くところだった。
「____ごめん。起こした?」
「いえ、大丈夫です」
「なんか、久々に寝ちゃったみたい」
「‥‥‥‥私もです」
彼と話していると、なんだかふわふわする。
「今日、本当にありがとう」じゃあね、とバスを降りる。
彼の前を通り過ぎるとき、少しだけ目が合った気がした。
なんだか嬉しくなって、思わず小さく手を振ってしまったけど。
見えてないはず‥‥‥‥‥‥。
____ピロンっ。
スマホを見ると、お母さんからだった。
<今日のご飯何がいい?>
<ハンバーグカレーかな>
<いいことあった?>
<ないよ>
本当はあったけど。と思いながら返す。
夜ご飯の時、「やっぱりあったでしょ」とお母さんに言われてしまった。
私がいいことあるときは、ハンバーグカレーなんだって。
そんなの、覚えてないけど。
明日からもこんな日が続けばいいな、なんて。
ぼんやり考えていた。



