「てっきり、泉君には話してるのかと‥‥‥‥」
「?」
「男子ですし。分かってくれそうなので」口も固そうだし。
私が言うと、「かもね」と笑う。
「いずみんにも、シノがいいって言われちゃってさ」
「‥‥‥‥え」
「悩んでるのは、とっくにバレてるんだろうけど」いずみんも鋭いから。と続ける。
「‥‥‥‥でもやっぱ、シノにしか話せなかったなぁって」
「‥‥‥‥そうですか」
「うん」
「‥‥‥‥よかったです」
「お返し、できました」
「うん。ありがとう」
彼の声が、はちみつ色に染まる。
それからすぐに、私の横で寝息が聞こえてきた。
ずっと前から、眠かったのかもしれない。
これでやっと。桜庭君も、安心できるかな。



