淡色の君と、透明なセカイ




「体育祭疲れたねー」


「‥‥‥‥‥そうですね」



思ったより声が近くて、どきどきしてしまう。

考えてみれば、今まではずっと後ろの方に2人で座ってたんだっけ。




「シノ」


「はっ、はい‥‥‥‥!!」


()けないの?」


「‥‥‥‥え」私が振り向くと、顔がすぐ近くにあって。



「あ、‥‥‥‥ごめん」


「‥‥‥‥い、いえ」



えっと。



「なん、で、しょうか‥‥‥‥」


「ヘッドホン」


「あ、‥‥‥‥」今まで走ってたし気付かなかった。

足元には、トートバッグに入ったそれが顔を覗かせている。



「今日は、いいです。今さら面倒なので」


「シノ、そんなこと思ったりするんだ」


「‥‥‥なんでですか?」