「座ろうか」
そのまま近くの1人掛けの椅子に誘導して、座らせてくれた。
「すみません‥‥‥」
「ううん。なんか今日、すごい揺れるね」
「たまにあります」
今日の運転手さんはちょっと強引な運転をする人みたい。
山道だから、元々道路もそこまで整ってないけど。
「すぐ座ればよかったね」
「‥‥‥いえ」
「どっか打ってない?」
「大丈夫です」
「よかった」とはちみつ色が映る。
「桜庭君、座らないんですか?」今日は他の生徒もいて、バスの中は珍しく満員だった。
「別にいいよ。どこも空いてないし」と少し見回して言う。
「‥‥‥‥すみません」気を使わせてしまった。
「やっと座れたー‥‥‥」次のバス停で後ろの席が空いて、彼が腰を下ろす。



