___プシュー。
背中で、バスの扉が閉まる。
よかった。間に合った。
バス停に着いた時にはもう扉が閉まるところで、慌てて滑り込んだ。
「間に合っ___ましたね‥‥‥‥」息が切れているから、うまく言葉になったかは分からないけど。
「うん、よかった」彼が少しだけ息を整えながら、私を見下ろす。
ガタン。
「___わ」ぐら、と視界が揺れる。
私の身体は息を整えるのに精一杯で、上手く踏ん張れない。
バスが曲がった勢いに押されて、身体が宙に浮く。
「___っと」よろけてぶつかりそうになったところを、桜庭君が受け止めてくれる。
「大丈夫?」真上から聞こえる卯の花色。
「は、い‥‥‥‥」
教室のこともあって、少し緊張してしまう。
そういうことじゃないのは、分かっているけど。



