泉君と聞いた、「女の子が嫌い」な理由が。やっと分かった。
誰も味方がいなくて。
ずっと1人で戦ってたんだな、と思った。
辛かったと思うし。
怖かったと思う。
打ち明けられる人がいなくて、たくさん、悩んだと思う。
でも今は。ちゃんと味方がいること、分かって欲しかった。
1人じゃないって、分かって欲しかった。
初めて触れる彼の体温が、暖かくて。
「‥‥‥‥ありがとう」
その声は濡れていて。
雨上がりの空みたいで。
視界いっぱいに、はちみつ色がにじんで。
私もまた、少し涙が込み上げてきた。
ぎゅ、と優しく締めつけてくる彼の体温が暖かくて。
なんだか安心した。
____これで、桜庭君も、大丈夫になれたかな。



