____それから俺は、学校をやめた。



「赤面症」でお世話になっている先生が祖母の家近くの施設に移動したことと、母の提案で今の高校に転校する形になった。

あのときのことは、そこまで大袈裟に取り上げられることもなく流れてしまった。

警察からも、特に連絡はない。




幸い、「SOUはAkarの彼氏で、東京に住んでいる」という情報が定着している。
こっちに来ても、誰も俺がSOUだとは分からないみたいだった。

たまに「似てるね」とは言われたけど、
動画以外のSOUの情報がないせいで、誤魔化せたし。

お年寄りが多いのも助かった。

冬休みに始めたバイトも、「迷惑なお客さんが殺到するから辞めて欲しい」なんて言われないし。



今の高校に転校するまでは、療養しながら勉強して、少しずつ「赤面症」の症状を軽減させていた。


____ただ、今だに慣れなくて。

暑くても表情が隠せるように長袖だったり、症状が強く出そうな時はその場から離れたり‥‥‥‥という部分は、残ってしまっているけど。






「____桜庭君」


ふと、彼女の声が聞こえて、視線を向ける。

心配そうに見上げてくる瞳が映った。




「‥‥‥‥ん?」


「____あ、あの、‥‥‥‥大丈夫、ですか?」


「‥‥‥‥なにが?」