____俺が高校に上がるくらいの頃。明里は大学生だった。
またゲームしようと誘われて、半ば強引に部屋に連れ込まれた。
明里は大学生になってから1人暮らしをしていたから、家族と離れて寂しかったのかもしれない。
去年の、クリスマス頃だった。
「なにしてんの?」
その日はいつもと少し違って。
「ん?ライブ配信」
彼女の持つスマホには、沢山の♥️が流れてきていた。
そんなのがあるんだ、と思った。
中学の頃はまだスマホを持っていなくて、部活も忙しかったから知らなかった。
彼女は画面の向こうの知らない人に「ありがとう」を振りまいていて。
時折こちらを振り返っては、知らない人との会話を楽しんでいた。
「奏も出てみる?」
「や、いいよ、俺は」
そういうの向いてないし。
ただでさえ恥ずかしくて、人前に出られないのに。
「奏が出てくれたら、絶対再正数延びるのにー」
なんて言いながら、映さないことを理由に一緒にゲームをした。
スマホに明里の顔が映ってるのが分かってたから、あまり彼女を見ないようにしていた。
____が、次の日。
<ごめん、昨日のライブ配信、奏の顔映っちゃった!!>
とメッセージが飛んできた。
俺が映ったのはほんの一瞬で、スマホが倒れたときに見切れるように映っただけだった。



