「桜庭君、なにか、用事があったんじゃ‥‥‥‥?」
「うん、あるよ」
その薄い瞳が俺を映していることに、少し緊張して。
「シノだから」
「俺の用事」
____でも、不思議と。
ここでやめようとは、思わなかった。
「‥‥‥‥なんか、急に、ごめん」
「い、いえ‥‥‥‥」変なことを聞いてしまった、という反応をする。
「前に、さ‥‥‥‥」
「期待を外してくれたから、打ち明けられたって言ってたの、思い出して」
「冬休みの、ことですよね」と返ってくる。覚えていてくれたんだ。
「俺の期待も、外して、くれないかな‥‥‥‥って」
「期待‥‥‥‥?」
「うん。否定されるって、期待」



