「前に、さ‥‥‥‥」


「はい」


「期待を外してくれたから、打ち明けられたって言ってたの、思い出して」



____確かに、前にそんなことを、言った気がする。



「冬休みの、ことですよね」


「‥‥‥‥うん」それでさ、と続ける。




「俺の期待も、外して、くれないかな‥‥‥‥って」




視線が、下の方で揺れていて。

なんだか、いつもの桜庭君と、違うような気がして。





「期待‥‥‥‥?」


「うん。否定されるって、期待」



ガタ、と立ち上がって、窓の方に向かう。

視界に、薄紫色が浮かぶ。






「____もしもの、話だけど」