____ガラッ。
誰か入ってくる。
今日は部活もなくて、ほとんどの人が帰ったはずだけど。
「‥‥‥‥?」教室の入り口に立ったまま、動く気配がない。
視線を向けると、桜庭君と目が合った。
「‥‥‥‥あの?」
「あ、ごめん」ぼーっとしちゃった、とこっちに向かってくる。
「え、と‥‥‥‥‥。シノ、だよね‥‥‥‥‥‥?」躊躇いがちに聞いてくる。
「‥‥‥‥?はい」
「よかった、合ってて‥‥‥‥」少し固くなりながら、前の席の椅子に腰を下ろした。
「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」
「あの、なにか‥‥‥‥?」
「あ、や、ごめん」見すぎたね、と顔を背ける。
「なんか、いつもと違うから、ビックリして」
「あ、‥‥‥‥」言われてみれば、学校で髪を下ろすこと、ほとんどない。



