淡色の君と、透明なセカイ



「‥‥‥‥おっ」なんとかパンに喰い付くことに成功した。


「ふぉあ!!」ふぁんふぁれ!!と隣で応援する。


「お前は口の中なくしてからしゃべれ」


「ふぅはい!!」


「へーへー」痛いからおれの耳引っ張るの止めてくれない?



パン喰い競争______といっても、ぶら下がったパンの袋に噛みついて取るだけなんだが。


かなり苦戦している。


何度か噛みついて、首を勢いよく下に動かして、ぶら下がったヒモごとむしり取ることに成功した。


______が、勢い余ってそのまま落下。ぺしゃんこになる。





「あーあー」完全に転んだな。膝大丈夫か、あれ。


「シノちゃんがんばれー!!」耳元がキンキンする。


「お!!1位だ!!」珍しくサクもテンションが上がっている。


「わー!!2位の人が速い!!」


追い抜かれそうになりながらも、ギリギリでゴール。

おお、すげぇ。


1位かな、と思ったら、2位の旗の前に並ばされていた。




「え!!絶対シノちゃんが1位だったよね!?」ビデオ判定しろー!!と隣で騒ぎ立てる。


「うるせーよ」僅差(きんさ)だったし、ここからだと分からなかった。


「シノの方がちょっと後ろだったよ」


「うそだー!!」悔しいのか、地団駄を踏む。子供か。