「____あれ、シノだ」


「____あ」



放課後。黒板掃除をしている私の視界に、卯の花色が滲む。

そういえば前も、こんなことあったな。





「なにしてんの、ばんざい?」


「あ、こ、これはっ‥‥‥‥!!」



いきなり人が入ってきたせいで、
黒板を消すのに手を挙げた体勢のままになってた。

なんか、変な人みたい。



「日直?」


「‥‥‥‥はい」


「あれ、麻ちゃんは?」


「あ、えと、今日はっ、‥‥‥‥部活の、リーダーらしくて‥‥‥‥っ」



先生が黒板の上ギリギリまで書くせいで、背の低い私は椅子に乗っても届かない。

他のクラスは教卓があるのに、何故かこの教室にはない。今年は教室がハズレだった。



「‥‥‥‥っ」


椅子に乗りながら背伸びしているせいで、落ちないか心配になる。

椅子が変にガタついているから、余計に怖い。