「どしたの?じっと見て」サクが話し掛けてくる。
「ん、別になんもねーよ」変な勘違いされても困る。
視線の先には、ぴょこぴょこと跳び跳ねているお嬢。
______やっぱ、ウサギにしておくんだった。
身長が小さいからか、余計にそう思う。
今年は小さい選手が多くて、どんぐりの背比べみたいになっている。
「そいや、シノちゃん大丈夫かなー」
「なにが」
「あれってさ、あのあとパン加えたまんま50m走らないとなんだけど‥‥‥‥」
あの子あんまり足速くないよね?となにかを口にいれながら隣に座る。
「大丈夫だろ」問題はそこじゃなくて、身長が低過ぎてパンを取れるかどうかだと思う。
「麻ちゃん、なに食べてんの?」
「ん?氷」ゴリゴリ、と口を動かしている。
「ハムスターみたい」彼女の頬をつつく。
「ふぁれへー!!」
楽しそうだ。



