彼の口から聞く、笑菜ちゃんの話は。
なんだかとても苦しくて。
今の彼女になるまで、すごく、大変だったんだなと思った。
「家庭環境ヤバそうだったから、困ってるとこ見つけて家誘ったら、他のヤツらが懐いちゃって‥‥‥‥」
そうだったんだ。
「ゲームもやったことないって言うから、びっくりしてさー‥‥‥‥」
私もテレビゲームとか、あんまりしないけど‥‥‥‥。
でも、こういうところなんだな、と思う。
「すごいですね、泉君は」
「____あ?」
「ヒーローですね」
「‥‥‥‥んなことねーよ」
いろんな色のハチマキが、目の前を走り抜けていく。
話を聞いている間に、いつのまにか色別対抗リレーが始まっていたらしい。
「多分、笑菜ちゃんは、泉君だから話せたと思うんです」
「んー‥‥‥‥」そうか?と隣で首を捻っている。
「今の笑菜ちゃんがあるのは、泉君のおかげなんですね」



