「チャンスじゃね?」
「え」
「お前のこれ知ってんの、おれだけだし。リセットできんじゃん」
「‥‥‥なにそれ」
「お前のことだから、勉強しなくてもいけるだろ。成績いいし」
「‥‥‥‥んー」
それはどうなんだろう、とでも言いたそうな表情をする。真面目なヤツ。
「もう休めよ、お前」
「休むってさぁ‥‥‥‥」
「勉強休んで、したいことたくさんすりゃあいいだろ」
「‥‥‥‥」
「____ま、来るか来ないかは勝手だけど」
「うん」
「どうとでもなるだろ。どうせ誰も、“麻美 笑菜"なんて興味ないんだから」
「なんもないなら、これからすりゃいいじゃん」
立ち上がって、校舎の方に足を向ける。
ずっと座っていたせいか、腰が痛い。
話しすぎたな‥‥‥。



