「なら、それでいいんじゃね」
「____は?」
あんたなに言ってんの、という瞳で見てくる。彼女にとっては、突飛な意見かもしれない。
「見向きもされねーってことは。お前が親に縛られる理由もねーじゃん」
「‥‥‥‥‥‥え」
「もう自由にして、いいんじゃねーの」
「‥‥‥‥‥‥」
「好きなように自分の意見言ってもいいし、自分の好きなことしていいってことなんじゃねーの」
「‥‥‥なにそれ、変なの」
「だってもうお前、全部言う通りにしたんだから。もう自由だろ」
「‥‥‥‥‥‥でも、志望校落ちて」
「それがお前の、親の意見に従った結果だったんだよ。
受験でダメなら、入ってからもどうせやってけねーんだぞ。入ってからも、今まで以上に苦労することになんだぞ。
今だってこんなに苦しくて、ボロ雑巾みてーに汚ねぇ顔で泣いて、“死にたい”とか言ってるクセに。無理だろ。
どうせ受かったってやってけなかったじゃん」
「‥‥‥‥‥‥」
その瞳がわずがに揺らいだのをみて、やりすぎたと思った。



