「いずみんもさ、強引だよね」ちょっと困った表情(かお)をする。

そう言われたところで、彼と一緒にいたのが雨宮君ではなかったことに気が付いた。




「私、ずっと雨宮君だと思ってました‥‥‥‥」


「え、そうなの?」


「色が、よく似てて」


「へぇ」


「よく、あるんです。顔と名前、覚えるの苦手で‥‥‥‥」


「そっか。俺と一緒じゃん」


「はい‥‥‥‥え?」


一緒って。


「俺も、みんなの顔とか名前とか、覚えるの苦手でさ‥‥‥‥」


そうだったんだ。


「でも、私には、とてもそんな風には‥‥‥‥」


「俺、早く覚えられるように、あだ名付けてるんだ」


そうなんだ。あだ名って、そういう工夫だったんだ‥‥‥‥。