「うちのクラス、私立ばっかだし」
「あんまいたくない」
‥‥‥‥ま、そうか。
しばらくなにも話さずに、隣に座っていた。
「あんたの、言う通りだよ」
「‥‥‥‥え」
「あたし、親厳しくてさ。希望してたとこ全部落ちたら、殴られた」
見ると、彼女の左頬にガーゼが貼ってあった。
「大丈夫か、それ」
「いつものことだし」
聞けば、これまでも成績が悪ければ、灰皿投げられたり、ご飯がもらえなかったりしたらしい。
どんな家庭だよ、と言いたくなる。
「あたし、やっぱ、馬鹿なんだなーって‥‥‥‥」
言葉が、冷気に触れて。
一瞬、きらきらとして、消えていく。
「あたし、失敗作だから______」
「期待に応えられないあたしは、もう要らないんだよ」
そう言って、またうずくまってしまう。



