「なんで」
「笑うから言わない」
「なんで」
「‥‥‥‥うるさい」どっか行っててよ、と力の無い声で言う。
「‥‥‥‥」しょうがねぇヤツだな。
「‥‥‥‥絶対笑うもん」
「おれは笑わないけど」話したくないなら、それでいい。
しばらく、目の前の白い景色を眺めていた。
「‥‥‥‥落ちたの」
まるで蚊の鳴くような。
ため息にも取れそうなくらいに小さい声だった。
「白咲女学院?」
おれが聞くと、わずかに首を縦に動かすのが見えた。
「狙ってた、他のとこも落ちた」
聞くと、他にも2、3校受けて。
どれもダメだったらしい。



